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<アシタツ・プロフィール>
音楽家:作曲家、ヒーリング・ホイッスル奏者、キーボード奏者
1977年生まれ。大阪府出身。大阪芸術大学音楽学科卒業。

私・アシタツは、ヒーリング・ホイッスル(ティン・ホイッスル&ロー・ホイッスル)とシンセサイザーを使い、音楽の作曲・演奏を行っております。

ヒーリング・ホイッスルとは、アシタツによる造語で、民族楽器の笛ホイッスルによる癒し系音楽です。

オリジナル曲では、癒し系の音楽(ヒーリング/ ニューエイジ・ミュージック)をメインに制作しております。

大阪府の郊外(奈良県寄りの田舎の方)を拠点に、近畿・北陸の自然や歴史をテーマにした作品などを発表しております。
(歴史・史跡巡りが趣味。また、自身は大阪府出身の関西人だが、母方の家系が福井県出身で、2分の1北陸人の血が流れていると自負)

また、文学・児童文学をモチーフにした音楽や、ファンタジックな世界観のヒーリング音楽・オリジナル曲なども手がけております。

ホイッスルの演奏では、オリジナル曲やヒーリング・ニューエイジの他、日本の童謡唱歌、世界の名曲・愛唱歌、民族音楽、ポップソング、映画音楽、ジブリ音楽・アニメソング、ミュージカル曲など、様々なジャンルの音楽を演奏しています。ジャンルを問わず、数多くの曲のレパートリーを持つホイッスル奏者を目指して、日々精進しております。

尊敬する音楽家としては、宗次郎さん、久石譲さん、姫神(星吉昭)さん、喜多郎さんといった方達を尊敬し、また影響を、音楽家を志した中高生の頃より受けました。

プロフィール画像 (300x300)

※ティン・ホイッスルについて
19世紀イギリス・イングランド発祥の金属製のホイッスル。現在、主にアイルランド音楽に用いられる、ケルトの民族楽器の笛。ペニー・ホイッスルやホイッスル、またはアイリッシュ・ホイッスルと呼ばれることもある。元々はTin(ブリキ、錫)で作られた6孔の笛だが、現在はアルミ製や真鍮製の物が多い。音の鳴る原理は、オカリナなどと同じくエアリードの管楽器だが、独特の哀愁を帯びた音色が魅力的である。低い音域の物は、ロー・ホイッスルと呼ばれる。



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アシタツ・オリジナル曲最新作
【ヒーリング・ホイッスル オリジナル曲】合掌ノ里~郷愁・五箇山~

作編曲:アシタツ(feat.五箇山民謡・こきりこ)
ヒーリング・ホイッスル&キーボード演奏:アシタツ
※世界遺産・合掌造り集落の五箇山をテーマにしたオリジナル曲

アシタツ公式サイト~ヒーリング・ホイッスル~ オープンのお知らせ

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(“尊敬する音楽家のこと”のカテゴリーの記事は、今後は新ホームページ内で連載していきます)

また、ホームページのオープンに伴い、ブログもホームページ内に移転いたします。(この旧ブログのコンテンツは、PDFアーカイブ化して掲載しています。)
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オープンしたてのホームページとともに、新たな年2019年の幕開けです。

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今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

久石譲ジブリ音楽レビュー(7)『魔女の宅急便 イメージアルバム』

久石譲×宮崎駿監督作品・第4作『魔女の宅急便』
『魔女の宅急便 イメージアルバム』
※タイトルをクリックすると、Amazonの商品ページに飛びます

ヨーロッパの雰囲気が楽しめる、メロディアスでおしゃれな楽曲の数々。

発売日:1989.4.10(発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ)

Produced by Joe Hisaishi
作曲・編曲:久石譲

<レビュー>
①かあさんのホウキ
 映画本編のキキの旅立ちのシーンなどで流れる、ゆったりとした抒情的な旋律の原曲。
 伴奏はシンセサイザーの音をメインにしつつ、メロディーはヴァイオリンが詩情豊かに奏でている。
 伴奏アレンジは、マリンバによるリズミカルなフレーズを取り入れた、80年代後半の久石さんの典型的な作風となっている。(“ウンチャッチャッチャチャッチャチャッチャッ”とか、“ンチャチャチャチャッチャチャッ”という感じのリズム…こんな書き方で、お分かりいただけるだろうか?)
 個人的には、この頃の久石さんのシンセ・アレンジが一番好きなのだが、ほぼ同時期に制作されていた、NHKスペシャル『驚異の小宇宙・人体』の音楽とも、音色やアレンジ面で共通する雰囲気が感じられる。(特に「遥かなる時間の彼方へ」や「ひと・そして・愛」と)
 そんな「かあさんのホウキ」、優しく温かいメロディーと、美しいヴァイオリンの音色が楽しめる名曲である。

②ナンパ通り
 映画本編でコリコの街に初めてやって来たキキが、街の大きなストリートへ、ホウキに乗って降りて行き、バスにぶつかりそうになったり、交通を混乱させたり、群衆の中をすり抜けて行くシーンでかかる曲の原曲。
 サントラの曲名で言うと、「海の見える街」の後半部分の、8分の6拍子の舞曲風のメロディーの原曲。
 映画では、先述のようなシーンで流れていたが、曲自体はとても愛らしい、おしゃれな感じの曲。ヨーロッパの街角などの風景とよくマッチしそうな曲調。
 この「ナンパ通り」では、アコースティック・ギターやアコーディオンの音を使ったアレンジで、洗練された雰囲気も漂う。このままカフェのBGMなどでも使えそう。
 曲の中間部に入る、シンセによるパン・フルートの音色の旋律が素晴らしい。

③町の夜
 サントラの「傷心のキキ」の原曲。
 魔女の宅急便のイメージアルバムの中で、最も哀しく切ない感じの曲調となっている。イントロの音型が「風の丘」のメロディーと似ており、意図的に似せている可能性もある。
 このイメージアルバム「町の夜」では、サントラ「傷心のキキ」では演奏されていない、中間部のメロディーも収録され、楽曲としての完成度は、こちらの方が高いと言える。
 その中間部のメロディーは、久石作品ではよく聴かれるタイプのメロディーラインだが、この部分があることで、曲全体のバランスが良くなる効果を生み出している。音楽的な構成の“起承転結”の“転”の部分にあたるメロディーとなっている。
 サントラは映像に合わせて作られているので、音楽的な構成よりも、映像の秒数などが優先されることが多い。しかし曲によっては、この曲のように、イメージアルバムの方が、音楽的な楽曲構成の完成度は高いと思える曲もあったりする。「町の夜」はその一例と言えるだろう。

④元気になれそう
 サントラ「仕事はじめ」の原曲。
 このイメージアルバム版「元気になれそう」とサントラ版「仕事はじめ」は、アレンジや音色、曲調など、ほぼ同じとなっている。
 非常にシンプルで覚えやすいメロディーの曲で、タイトル通り、明るくさわやかな気持ちになれる曲。(間違えて、手をたたこうとしないように…)
 ダルシマーマンドリンを思わせるような、軽やかな撥弦楽器系の音色が耳に心地良い。

⑤渚のデイト
 洗練された感じの爽やかな曲。
 ギターのサウンドがとてもカッコいい、おしゃれなアレンジの曲。2曲目と同じように、この曲もカフェなどのBGMに、とてもよく合いそうな気がする。
 こういうフュージョン的と言うか、スムース・ジャズっぽい感じの曲は、近年の久石さんはあまり作ってはおられないが、80年代後半~90年代初頭のころには、ちょくちょく手がけておられた作風の一つと言える。
 この「渚のデイト」は、音楽単体ならとても素晴らしい良曲であるが、映画の世界観にはあまり会わないと判断されてしまったのか、本編では使用されることはなかった。

⑥風の丘
 サントラの「海が見える街」の前半部分の原曲。
 魔女の宅急便関連のBGMの中で、最も認知度と人気の高いメロディーと言える。久石さんが作曲した魔女の宅急便の音楽と言えば、このメロディーを思い浮かべる人も多く、コンサートで“魔女の宅急便”の曲として取り上げられる際は、このメロディーが演奏される。
 それほどまでに、魔女の宅急便を代表するメロディーでありながら、実際の映画本編では、たった一度のシーンでしか使われていない。キキが列車の屋根から飛び立って、街の方へ飛んで行くシーンのみ、このワンシーンでのみ使われた。にもかかわらず、これほど高い人気があるのは、群を抜いて魅力的なメロディーであるためと思われる。
 循環コードによる美しい旋律と、ヨーロッパの街並みのイメージにぴったりな雰囲気、そしてアレンジが魅力的な名曲である。
 サントラ版「海が見える街」は、映像の時間に合わせたショート版なので、もっと聴きたい、フル・バージョンで聴きたいと思った場合は、このイメージアルバム版「風の丘」を聴くことをお薦めする。

⑦トンボさん
 この曲は大きく2つのモチーフから構成されている。
 1つ目は、軽快な伴奏音型にのって、跳躍するかのようなメロディーが印象的なモチーフ。このリード系音色による旋律はかなり独特なメロディー展開をしており、久石さんならでは。映画本編では、トンボとキキが自転車二人乗りで、海を目指して走って行くシーンで使われた。
 もう一つのモチーフは、3拍子のリズムのおどけた感じの曲調。どちらかと言うと、こちらのモチーフの方が“不良少年・トンボ”っぽい。実際の映画本編でも、トンボが出てくる滑稽な感じのシーンで使われたモチーフ。
 先述の自転車のシーンで言うと、自転車のプロペラがふっ飛んで、海岸の草むらへ転落する所で使われていた。

⑧リリーとジジ
 魔女の宅急便のイメージアルバムの中で、最も陽気な曲調の作品。
 軽やかなピアノ伴奏が耳に残る、なかなかインパクトのある曲。
 リリーは、劇中の登場するデザイナーの婦人が飼っている白い猫。一方、ジジはおなじみ、キキの相棒の黒猫だが、この「リリーとジジ」のメロディーは、そのタイトルに反して、この二匹が登場する場面では使われず、映画本編では意外なところで使用されている。
 登場するのは1か所だけなので、探してみるのも面白いかも。
 このイメージアルバム版「リリーとジジ」は、印象的なピアノサウンドの他、まるで猫の鳴き声を思わせるような、シンセ・リードの音も印象に残る。(フニャ~ンと言った感じの音)
 シリアスな曲から、このようなユーモラスな曲まで…久石さんの音楽性は、本当に幅広い。

⑨世界って広いわ
 3拍子のワルツ風の美しい曲。
 映画本編では、このメロディーがメインテーマ的に扱われ、繰り返しアレンジを変えつつ流れていた。
 サントラでは、オカリナの音色やストリングスアレンジが印象的な曲となっていたが、原曲であるイメージアルバム版は、シンセサイザー・アレンジ。
 全体的に優しい音色で統一され、オルゴールを思わせるような、ベル系の音色が印象的なアレンジとなっている。そのアレンジ自体は、サントラのものと比べて、非常にシンプルなアレンジとなっている。
 この優しさあふれるメロディーラインは、キキのことを温かく見守っているような、そんな愛情がこもった音楽に思える。

⑩パン屋さんの窓
 久石さんの作品には、タンゴのリズムを取り入れた作品がいくつかあるが、この曲もその一種。
 パン屋さんというのはもちろん、グーチョキパン店のことだが、この曲はパン屋さんでせっせと働くキキの姿がイメージできる良曲となっている。
 メロディーも覚えやすく親しみやすいもので、タンゴのリズムも、とてもおしゃれな感じを醸し出している。

⑪突風
 シンセサイザー・サウンドによるスペクタクル系の、なかなか激しい感じの曲調。
 メロディーというよりは、サウンドに重点を置いて作られたタイプの曲。重低音のシンセ・サウンドが印象的。
 映画終盤のストーリーにからんでくる、“突風”をイメージした曲と思われるが、実際の映画では未使用のモチーフとなった。
 『魔女の宅急便』のイメージアルバムの中では、やや異質なタイプの曲となっている。

⑫木洩れ陽の路地
 1曲目「かあさんのホウキ」の別バージョン。
 ヴァイオリンが主旋律を演奏しているのは同じだが、1曲目で聴かれたような、マリンバのリズム・アレンジなどは無く、非常にシンプルなアレンジとなっている。
 エレキピアノによるシンプルな伴奏で、実際の映画でこのメロディーが使用された際は、この「木洩れ陽の路地」のアレンジに近い感じのものだった。
 「かあさんのホウキ」のアレンジは、キュートな感じが出ていたが、この「木洩れ陽の路地」は、ゆったりとした雰囲気を味わえるアレンジとなっている。


<総評>
 日本が舞台だった前作『となりのトトロ』から一変して、本作『魔女の宅急便』はヨーロッパが舞台ということで、音楽面でもヨーロピアン・テイストな曲調が中心となっている「魔女の宅急便イメージアルバム」。
 そういった曲調は、舞曲風のリズムを取り入れた曲や、ヴァイオリン、アコースティック・ギター、ダルシマー、アコーディオンといった楽器の音色などにも現れている。
 全体的に明るくさわやかな作品が多く、BGMとして聴くにも適した良作アルバムとなっている。
 久石さんが手がける宮崎駿監督作品のイメージアルバムとしては4作目となるが、「ナウシカ」「ラピュタ」「トトロ」のイメージアルバムと比較して、よりおしゃれで洗練された雰囲気の作品に仕上がっている。それは、魔女の宅急便の世界観が見事に表現されているためと言えるだろう。
 また、シンセサイザーをベースにしつつも、前3作以上にアコースティックな楽器、あるいは、アコースティック風なサウンドの比率が高くなっている。そして、その要素はサントラ音楽集にも引き継がれている。
 “歌もの”だったトトロのイメージアルバムと異なり、「魔女の宅急便イメージアルバム」は、全曲がインストゥルメンタルとなっている。
 親しみやすいメロディーと耳ざわりの良いサウンド、そしておしゃれな曲も多いので、カフェなどのBGMにも、よく合いそうなアルバムである。(ただし、「突風」はあまりカフェには合わないとは思うが…)
 北米版ブルーレイの特典映像に、久石さんへのインタビューが収録されていたが、久石さんによると、“プラハ”の街並みをイメージして「魔女の宅急便」の曲を作曲したと語っておられた。
 石畳の道や古い街並み…たしかにプラハのイメージはピッタリな気がする。
 ちなみに、実際の映画に登場するコリコの街は、スウェーデンのストックホルムと、ヴィスビー(ヴィスビューと記載されることも)という町がモデルらしい。

久石譲ジブリ音楽・目録

tag : 久石譲スタジオジブリジブリ魔女の宅急便

新カテゴリーを追加しました

新カテゴリーを追加しました。

・喜多郎さんのこと:CDレビュー編
・尊敬する音楽家:姫神 星吉昭さんのこと
・姫神 星吉昭さんのこと:CDレビュー編
の三種です。

宗次郎さんと久石譲さんの作品のレビュー記事のカテゴリーは、前からあり、現在久石さんの作品のレビューを連載中です。

そんな中、最近ツイッターにて、フォロワーさんと姫神作品について語り合っている内に、尊敬する4人の音楽家の作品を、全て扱って記事として書いていきたいと思うようになりました。

宗次郎さんの作品レビューは、既に全オリジナルアルバムのレビューが完成しており、とても好評をいただきました。
今連載中の、久石さんのジブリ作品の記事は、まだまだ道半ばです。

でも、いずれ順次、喜多郎さんや姫神・星吉昭さんの作品レビュー記事も、書いていきたいです。

尊敬する音楽家・四天王、全ての作品レビューが完成するまでには3~5年(もしかしたらそれ以上)はかかりそうです。

少しずつ、進めて書いていきたいと考えています。

ヒーリング・ホイッスル版「きよしこの夜」公開!(クリスマス・キャロル カバー演奏)

毎年12月の恒例となって来ました、ヒーリング・ホイッスルによるクリスマス曲のカバー演奏。
今年は定番中の定番、「きよしこの夜」です。

クリスマス・キャロルの中でも、全世界で愛唱されている名曲。
美しく清らかな旋律は、ホイッスルの澄んだ音色にぴったりだと思いました。

編曲も、メロディーの透明感を大切にしつつ、あたたかく包み込むような曲調に仕上げました。
ぜひ、お楽しみください。


『きよしこの夜 Silent Night』
作曲:グルーバー
編曲:アシタツ
ヒーリング・ホイッスル&シンセサイザー演奏:アシタツ


テーマ : 演奏してみた
ジャンル : 音楽

tag : ティン・ホイッスルクリスマスキャロルきよしこの夜

久石譲ジブリ音楽レビュー(6)『となりのトトロ サウンドトラック集』

久石譲×宮崎駿監督作品・第3作『となりのトトロ』
『となりのトトロ サウンドトラック集』
※タイトルをクリックすると、Amazonの商品ページに飛びます

優しく温かく、ときにファンタジックな「となりのトトロ」サントラ集。

発売日:1988.5.1(発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ)

Produced by Joe Hisaishi
作曲・編曲:久石譲
編曲:平部やよい(2、10後半、15後半、16、17、18)
編曲:武市昌久(20)

<レビュー>
①さんぽ~オープニング主題歌~
・作詞:中川李枝子
・歌:井上あずみ
 イメージ・ソング集にも収録されている「さんぽ」のサントラ・バージョン。
 アレンジや曲調はイメージ・ソング版とほぼ同じだが、違う点としては、イメージ・ソングで参加していた杉並児童合唱団の歌声は無く、井上あずみさんが一人で歌っていること。そして、イントロが違うという点である。
 パーカッションの音だけだった、イメージ・ソング版のイントロ・出だしとは異なり、サントラ版は、バグパイプ風の印象的な音色とメロディーが追加され、その点が大きな特徴となっている。
 この部分は、ちょうど映画冒頭の、小トトロが歩いた跡からドングリが芽を出してくるカットに相当している。
 まさに、絵と音が一体となって、“これから物語が始まるよ!”と宣言しているかのような、素敵な演出だと思う。
 また、歌っているのが井上あずみさんお一人なので、彼女の澄んだ歌声を堪能できるバージョンであると言える。

②五月の村
 サツキとメイが引っ越してくる最初のシーンや、河に水を汲みに行くシーンで流れる、さわやかで温かい雰囲気のオーケストラ曲。
 まさに歌うように、メロディーを奏でるストリングスの音色が素晴らしい。
 聴いていると、曲名のとおり、新緑の森や田んぼ、さわやかな陽気や風がイメージできる。
 心がふわりと軽くなるような、そんな優しいメロディーと楽しげなサウンドが魅力的な、素晴らしい曲。
 そんな良曲のオーケストレーション(編曲)を担当されたのが、エレクトーン電子オルガン奏者の平部やよいさん。平部さんはこの曲の他、10・15・16・17・18曲目に、オーケストレーターとして参加され、素晴らしいオーケストラ編曲を聴かせてくれている。エレクトーン奏者らしい、色彩豊かなアレンジが見事。
 平部やよいさんは、当時の久石さんの作品にいくつか参加されており、ジブリ作品ではトトロの他、次作『魔女の宅急便』のサントラの編曲・オーケストレーションも担当されている。

③オバケやしき!
 シンセサイザーによる曲だが、ピチカート・ストリングスやクラリネット・木管楽器の音色を多用しているので、どこかアコースティックな味わいも感じられる作品。また、素晴らしいパーカッション・アレンジも聴きどころ。
 楽しく跳びはねるかのようなメロディーが愛らしくて魅力的。
 映画本編では、引っ越し先にと到着したサツキとメイが、木のトンネルを駆け登り、初めてオバケやしきのような家と対面するシーンで使われている。
 また、階段を探して、家の中を駆け回るシーンでも使用された。
 この「オバケやしき!」のサントラ版では、本編で未使用となったコーダ部も収録されている。これは、「風のとおり道」のメロディーのショート・バージョン。
 わずかな時間の曲だが、静かで幻想性を感じさせる音色を味わうことができる。
 楽しくにぎやかだった前半部分とは対照的なサウンドになっており、久石さんの美しいシンセサウンドを聴くことができる。

④メイとすすわたり
 原曲はイメージソングの「すすわたり」。イメージソングでも聴かれた、人声を加工した面白いサウンド・エフェクトが使われている。
 ただ、この曲に関しては、映像の動きに合わせた編曲となっているので、突然、曲調が変わったりする構成になっている。
 “すすわたりのテーマ”から、フル・オーケストラのトゥッティによるダイナミックなアルペジオ風サウンド。そして、“オバケやしき!のテーマ”にオーケストラ・ヒットを加えたバージョンと流れていく。
 フル・オーケストラの所は、メイが壁のすき間に指をそっと入れて、すすわたりの大群が一気に出てくるシーンで使われた。一匹だけ目の前に降りてきたすすわたりを、メイが手で“パン!”と捕まえる所と、オーケストラのトゥッティ・サウンドがピッタリと合っているのが印象的。

⑤夕暮れの風
 「風のとおり道」のメロディーのアダージョ・バージョン。
 ゆったりとしたフルートや、オーボエとストリングスの音色が美しい。癒される曲調で心地良い。
 映画本編では、サツキとメイが引っ越した日の夕暮れ。カンタのおばあちゃんが家に帰って行くシーンから、夕食の支度をしているシーンの辺りで流れている。
 「風のとおり道」のメロディーは5音音階を基調としているので、ゆったりとした静かなアレンジでも、とてもよく合う。日本の夕焼け空を連想させるような、郷愁あふれる優しいサウンドが素晴らしい。

⑥こわくない
 この曲は、大きく分けて2つの部分から成る。
 まず、オーケストラ・ヒットの音も使った、緊迫感あるサスペンス・タッチの曲。トトロの世界観とは、一見合わなさそうな曲調だが、本編ではボリュームを絞った上で、お風呂でふざけあう(暴れる?)シーンで使われている。
 “すすわたり”のサウンドエフェクトをはざんで、後半は「風のとおり道」のアレンジ・バージョン。
 メロディーにはベル系の音を使っており、原曲版に近い音色を使ったアレンジで、家から逃げていくすすわたり達を表現している。

⑦おみまいにいこう
 OP主題歌「さんぽ」のインストゥルメンタル・バージョン。
 「さんぽ」の伴奏に比べて、素朴でシンプルなアレンジとなっている。
 生オケではなく、シンセの音による演奏だが、クラリネットの音など、やわらかな木管系の音色により、可愛らしい雰囲気のアレンジとなっている。
 映画本編では、お父さんとメイとサツキの3人が、自転車に3人乗りして、お母さんの病院へお見舞いに向かうシーンのBGMとして使われた。
 「さんぽ」のメロディーによるインスト曲としては、この曲が唯一のトラックとなっている。

⑧おかあさん
 イメージ・ソング集の「おかあさん」をもとにした曲。
 優しく温かなメロディーラインを、井上あずみさんがスキャットで歌っている。井上あずみさんの透明感のある歌声と、とてもよくマッチしたメロディー。
 この“おかあさん”のメロディーは、劇中で何度かアレンジを変えて流れているが、サントラに収録されているのは、お見舞いの帰り道で流れたバージョン。
 映像のシーンの長さに合わせたアレンジなので、ごく短いものとなっているが、ぜひフル・バージョンでも聴きたい名曲。フル・バージョンはイメージ・ソング集の8曲目に収録されている。
 久石さんらしい抒情的な旋律を堪能することができる。

⑨小さなオバケ
 メイが初めてトトロに遭遇するシーンのBGM。
 映像の動きにピッタリと合わせて作られた楽曲となっている。
 メイが「おじゃまたくし!」と言って、水に手を入れるカットから、中トトロと小トトロを追いかけて、大樹の所まで行くシーンの音楽だが、メイの動きや中トトロ&小トトロの動きに合わせた、音楽的演出が面白い。
 フル・オーケストラできめ細かく作られているのが、このサントラを聴くとよく分かる。
 個人的には、しゃがんだメイの所に、蝶々がフワフワと飛んでくる所の音楽が好き。フルートによる三連符の音型が、蝶々の動きにぴったりと合っているのが印象的。
 また、メイがドングリを拾い集める所の、ブラス系の音による愛らしいメロディーラインも素晴らしい。

⑩トトロ
 コーラス系のシンセ音と、ゆったり目のミニマル音型・マリンバサウンドが印象的な前半と、ストリングスによる主題歌「となりのトトロ」のメロディーのアダージョ・バージョンの、後半部から成るトラック。
 前半の、幻想的な雰囲気ただよう“トトロ”のモティーフは、トトロの棲家にメイが転がり込んだ時と、雨降りバス停でサツキの横にトトロが現れるシーンで使用されている。
 “パパパパパッ・パッ”という音型が特に印象的。ファンタジックな雰囲気のミニマル曲は、久石さんならではの魅力がある。
 後半は、生ストリングスで優しくゆったりと奏でられる、主題歌のメロディーが素晴らしい。こちらは、トトロのお腹の上で、メイが眠るシーンで使われた。

⑪塚森の大樹
 お父さんがメイとサツキを連れて、家の隣の神社へお参りに行くシーンでかかる曲。「風のとおり道」のアレンジ・バージョン。
 原曲のイントロにあたる部分が拡大され、オーボエの音色によるメロディーが追加されている。
 Aメロ以降は、ほぼ原曲通りのアレンジとなっているが、鳴っている楽器の音色数が原曲と比べて抑制されたものとなっている。お世話になっております。おそらく、映像のバックで鳴ることを考慮して、音の数を必要最小限に絞ったためと思われる。
 そのためか、原曲よりも全体的にスマートになった印象を受けるアレンジとなっている。

⑫まいご
・作詞:中川李枝子
・歌:井上あずみ
 サントラの12曲目「まいご」と13曲目「風のとおり道(インスト)」は、イメージ・ソング集に収録されたものが、そのままの形で収録されている。
 アレンジの変更は無く、20曲目の合唱版「さんぽ」と併せて、ボーナストラック的な位置付けとなっている。
 「まいご」は、井上あずみさんによる歌が収録され、そのメロディーは、16曲目「メイがいない!」の原曲となっている。
 曲名のとおり、映画終盤のメイが迷子になるシーンで使われる、哀愁漂う旋律の元となった曲である。
(→参照『となりのトトロ イメージ・ソング集』レビュー 4曲目「まいご」

⑬風のとおり道(インストゥルメンタル)
 イメージ・ソング集にも収録されている、「風のとおり道」の原曲バージョン。
 実際の映画本編では、この曲をもとにした作品が多く使われており、映画のもう一つのテーマ曲と言えるほど、重要な役割を担っている楽曲である。
 このサントラにおいても、3曲目「オバケやしき!」、5曲目「夕暮れの風」、6曲目「こわくない」、9曲目「小さなオバケ」、11曲目「塚森の大樹」、15曲目「月夜の飛行」の6曲に、そのモティーフが使われている。
 主題歌「となりのトトロ」のモティーフが使われているのは5曲なので、それを上回る使用度である。
 その辺りから考えて、“トトロ”という“キャラクター”のテーマ曲としては、主題歌「となりのトトロ」のメロディーになるかもしれないが、『となりのトトロ』という“映画”のテーマ・世界観そのものを、最も深く表現したテーマ曲が、この「風のとおり道」であると言えるのではないだろうか。

⑭ずぶぬれオバケ
 雨の日の、カンタがサツキに傘を貸すシーンや、雨降りバス停のシーンでかかるのがこの曲。
 雨の雫を思わせるような、シンセサイザーのベル系の音色が、幻想的で美しい。
 久石さんのミニマル系サウンドの中でも、この曲は音色数も少なく、静寂感と“間”を感じられる、侘び寂びの世界。
 雨に煙る、日本の里山の風景や神社の不思議な雰囲気にぴったりな、静かで奥深い曲。
 映画でも、雨の杜やお稲荷さんの映像にマッチしていて、とても印象深い曲となっている。個人的に、トトロの音楽の中でも、特にお気に入りの曲がこの曲。
 ちなみに、このサントラでは、映画では未使用だったコーダの部分も収録されている。その部分は、主題歌「となりのトトロ」のメロディーのバリエーション・アレンジとなっているが、ファンタジックなサウンドが美しい。(傘を持ったトトロが、雨の雫を落とそうと、ジャンプする辺りのカットを想定した曲かも?)

⑮月夜の飛行
 月夜の庭で、トトロたちとメイ・サツキが、ドングリの芽を大樹にしてしまうシーンから、トトロのコマに乗って空を飛ぶシーンのBGM。
 楽曲構成としては、3つの部分に分けられる。
 まず、小さな芽が大樹になる所の、フル・オーケストラによる上行形アルペジオを中心としたダイナミックなサウンド。木がぐんぐんと成長していく様が、音楽で見事に表現されている。
 それに続いて、「風のとおり道」のヴァリエーション・アレンジ。原曲の基本アレンジをベースにしつつ、ストリングスの上下行形の対旋律が、特徴的なアレンジとなっている。そのストリングスの音型が、直前までのフル・オーケストラのパートの流れを、スムーズに受け継ぐ効果を生み出している。
 3つ目は、主題歌「となりのトトロ」のメロディーのオーケストラ・アレンジ。
 トトロのコマが、空へ飛び上がって行くシーンの曲だが、「となりのトトロ」のメロディーが、力強く、そして爽やかに奏でられ、最後は優しさあふれる温かなサウンドへと移行していく。
 このシーンは、映画でも特に印象的なシーンだが、音楽もそのシーンを盛り上げる役目を見事に果たしている。

⑯メイがいない
 イメージ・ソング4曲目、およびサントラ12曲目の「まいご」のメロディーをもとにした曲。
 メイが迷子になってしまい、サツキが必死になって探すシーンで使われた曲。
 このメロディーを聴いて、条件反射的に、サンダルが池に浮かんでいる光景が思い浮かんだ人は、かなりのトトロ・ファン。
 楽曲構成としては、リコーダーの音色が印象的なイントロ部分から、トレモロ・ストリングスを経て、木管+ストリングスのオーケストラへと流れていくアレンジが素晴らしい。
 原曲「まいご」の哀愁あふれるメロディーラインが、美しいオーケストレーションによって、よりエモーショナルなムードが漂うサウンドに昇華されている。
 久石さんの抒情的なタイプのメロディーは、この曲のように、木管楽器の優しい音色と、とてもよくマッチする。

⑰ねこバス
 イメージ・ソング6曲目のメロディーをもとにした、“ねこバス”のテーマ曲。
 サントラ版は、ピアノ+オーケストラのアレンジとなっている。
 映画本編の終盤、大クスの上に登ったトトロが、大声を出してねこバスを呼び、それに応えて、ねこバスが走って現れるカットから、この曲がかかり始める。
 ねこバスの駆ける足さばきを表現したかのような、低音部のストリングスの音型が印象的。そのベース音にのって、ミューテッド・トランペットが軽快なメロディーを奏でている。
 途中、オーケストラの音がピタリと止んで、ピアノの音だけの静かで愛らしい部分が挿入されるが、このピアノの部分は、映画ではちょうど、サツキがねこバスに乗り込んだシーンでかかっていた。
 もしかしたら、映像に合わせての編曲だったのかもしれないが、楽曲単独で聴いた場合でも、サウンドの雰囲気が一瞬変わり、楽曲構成の上で見ても、聴き手を飽きさせないアレンジで、素晴らしい効果をもたらしている。

⑱よかったね!
 サツキとメイが再会し、ねこバスが二人を乗せて、お母さんのいる病院へと向かってくれるシーンで流れる曲。
 主題歌「となりのトトロ」のメロディーをもとにしたオーケストラ曲。
 編曲は、映画のシーンの長さにピッタリ合わせて作られたと思われる。
 ねこバスが二人を乗せて駆けて行くカットでは、フル・オーケストラで力強く奏され、病室のカットに切り替わると同時に、ストリングス中心の優しい音色のアンサンブルに変わるように構成されている。
 曲の長さとしては短めの曲だが、映画のラストシーンに流れる曲なので印象深い。また、ここで「となりのトトロ」のメロディーのバリエーションでもある曲が流れることで、次のエンディングで流れる主題歌「となりのトトロ」への、スムーズな橋渡し的な(前奏的な)効果ももたらしていると言える。

⑲となりのトトロ~エンディング主題歌~
・作詞:宮崎駿
・歌:井上あずみ
 映画のエンドロールに流れる、主題歌「となりのトトロ」のフル・バージョン。
 曲自体は、イメージ・ソング集に収録されていたものと同じ内容となっている。
 軽やかなミニマル風のイントロに続き、口ずさみやすい、世代を超えて愛される珠玉のメロディーが流れる。まさに、久石さんの代表作であり、傑作・名曲である。
 アレンジに関しては、近年の久石さんはオーケストラがメインなので、コンサートでこの曲を演奏される際は、オーケストラ・バージョンで演奏されている。だが、原曲の方は、リズム・マシーンのドラムが軽やかなビートを奏でる、ポップな雰囲気のアレンジ。
 この曲が流れると、子供たちが踊り出すという話を聞いたことがあるが、たしかにダンサブルでノリやすいアレンジとなっている。
 なお、実際の映画本編で流れたものと、サントラ収録分とで大きく異なる箇所がある。
 それは、楽曲のエンディングである。
 映画本編では、“おしまい”のクレジットに合わせるように、優しく穏やかなメロディーによるコーダ部が流れて曲は終わるが、サントラの方は、半音、上の調に転調したうえで、サビのメロディーを繰り返しながら、フェード・アウトしていくように構成されている。
 余韻やメロディーへの印象が強く残るのはサントラ版だが、楽曲として、きちんとコーダが流れて終わる、スッキリ感があるのは映画本編版のアレンジの方と言える。

⑳さんぽ(合唱つき)
・作詞:中川李枝子
・歌:井上あずみ、杉並児童合唱団
 イメージ・ソング集版の「さんぽ」をもとにした、オーケストラ・アレンジ・バージョン。
 イメージ・ソングのように、歌は井上あずみさんと杉並児童合唱団が歌っている。だが、伴奏はシンセではなく、生オーケストラで演奏されている。
 本編では未使用のバージョンなので、いわゆるボーナス・トラック的な収録曲と言える。
 全体的な雰囲気は、原曲を忠実に、オーケストラでアレンジしなおした感じだが、ストリングスによる対旋律が追加されていて、華やかな雰囲気となっている。
 編曲は久石さんではなく、武市昌久さん。
 ウィキペディアで調べたところ、80年代を中心に、アニメ・ソングの編曲を主に担当されていた方のようである。タイムボカン、あさりちゃん、かぼちゃワインなどなど…。(なつかしい…)
 最近の作品はあまり載ってはいなかったのだが、記事によると、作曲家としての活動のほか、ミュージシャンとしてステージにも立つと書いてある。
 久石さんのオーケストレーションとは、少々雰囲気は異なるものの、とても聴きやすい、親しみやすいオーケストレーションによる「さんぽ」となっている。


<総評>
 久石さんの作品の中で、小さな子供から老若男女問わず、最も多くの人に親しまれている音楽が、『となりのトトロ』の音楽と言えるのではないだろうか。その“トトロ”の音楽の魅力を、余すところなく収められている作品が「となりのトトロ サウンドトラック集」である。
 2つの主題歌はもちろんのこと、印象深い劇中音楽の数々も収録されている。
 全20曲から成るサントラ集だが、本編で流れた音楽の中で、未収録の曲もある。(「おかあさん」のテーマのオルゴール風アレンジのものや、月夜の庭でのトトロのドンドコ踊りの太鼓の曲などが未収録)
 とは言え、主要な楽曲は網羅された上、ボーナストラック的に、イメージ・ソング集からの2曲と「さんぽ」のオーケストラ版が収録されており、トトロファン必聴の名作アルバムと言える。
 このサントラを聴きながら、映画のシーンを思い出すのも良いし、トトロの世界をイメージするのも良し。優しい音楽に癒されるのも良い。
 楽曲の構成やアレンジに関しては、80年代における久石さんの初期の頃の作風=シンセサイザー(フェアライト)を多用した作風となっている。
 同じようにシンセサイザーを多用していた「ナウシカ」や「ラピュタ」と比較すると、より優しくソフトで、そして透明感のあるサウンドが使われている。具体的に言うと、ナウシカの時のようなオルガン系の音色ではなく、鉄琴のような、ベル系の音色を主に使ったミニマル・サウンドが印象的である。
 また、舞台が日本ということで、「風のとおり道」や「ずぶぬれオバケ」のように、5音音階を主体とした、“和”を感じさせるメロディー・ラインも印象的なものとなっている。
 シンセサイザーの曲のほか、オーケストラ・サウンドによる曲もあり、曲調や音色も、バラエティーに富んだ聴き応えのあるサウンドトラック集である。
 なお、久石さんのジブリ音楽は、次作『魔女の宅急便』以降は、シンセサイザーの比率がぐっと下がるので、シンセ・アーティストとしての久石さんの曲を堪能できるのは、「ナウシカ」「ラピュタ」「トトロ」の3作品と言える。
 また、サントラのブックレットに、編曲:平部やよい(2、10後半、15後半、4、5、6)と記載されているが、これは誤りで、正しくは(2、10後半、15後半、16、17、18)である。(※平部やよいさんのホームページの記載より)


久石譲ジブリ音楽・目録


☆『となりのトトロ サウンドトラック集』より「さんぽ」「オバケやしき!」「風のとおり道」「ずぶぬれオバケ」「ねこバス」「となりのトトロ」を、ヒーリング・ホイッスルでカバー演奏しています。YouTubeで公開中です。よろしければ、ぜひご覧下さい。

「さんぽ」


「オバケやしき!」


「風のとおり道」


「ずぶぬれオバケ」


「ねこバス」


「となりのトトロ」


tag : スタジオジブリジブリとなりのトトロ久石譲宮崎駿

宗次郎さんオカリナコンサートin兵庫・小野(アンコール曲が凄いサプライズ!)

本日2018年11月25日に開催の、宗次郎さんのオカリナコンサート、兵庫・小野公演に行って来ました。

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自身通算12回目となる、宗次郎さんのコンサート。
2015年以降の近畿地方での公演は、皆勤しています。

今日の会場は、兵庫県小野市の、小野市うるおい交流館・エクラホール

実は今回の公演、ローソンチケットやぴあでの扱いが無く、宗次郎さんの公式ホームページで告知が更新されるまで、開催のことを知りませんでした。

売り切れ寸前に、ホールに直接電話して、なんとか座席を確保。
チケットも郵送していただきました。

ソールドアウト寸前だったため、座席は最後列でした。
今までに、ホールの一番後ろの席と言うのは経験が無かったので、最後列だとどんな風に聴こえるのか、いい経験になると思い、無事チケットを取れたことを喜びました。

コンサートは14時開演。
とは言え、大阪府の奈良県寄りの所に住んでる自分からは、兵庫県の内陸の小野市はかなりの距離があります。

朝早くに起きて、早めに余裕を持って出かけることにしました。

小野市に行くのは初めてで、また神戸電鉄に乗るのも初めてでした。
神戸の新開地から、鈴蘭台を通り、三木市を越えて小野市に向かいました。

車窓からは、晩秋の色づいた山並みやのどかな風景が見れて、つかの間の電車旅を楽しみました。

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片道三時間かけて、小野駅に着いたのは12時頃でした。
会場はこの駅から歩いて20分ほど離れていました。

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会場のエクラホール。大変立派な建物でした。
ひとまず昼食をとって、ホールの隣の小野市立図書館で、本を読んだりして過ごしました。

この小野市立図書館も、とても素晴らしい図書館で、利用者も多く、市民に愛されている図書館だなあと思いました。
小野市は、文化振興にとても力を入れているように感じられました。

開場時間になったので、図書館をあとにしてホール内に入りました。

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宗次郎さんのコンサートは、今年の8月の岐阜・淡墨桜コンサート以来です。

演奏後のサイン会に備えるため、CD販売にて、2枚ほど購入しました。
オリジナルアルバムは全作品持っているので、まだ持っていなかった、日本の名曲と世界の名曲のカバー演奏のCDを購入しました。(ユーキャンが制作を担当した、“nature music”というシリーズです)

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CD購入後、本日のプログラムを確認。
通算12回目になりますので、曲目は、さすがにお馴染みの、今までの公演でも聴いたことがある曲目ばかりでしたが、アンコールがすごいサプライズでした。

開演時間が迫っていたので、ホール内に入りました。

会場は500席程度の、中規模ホールでしたが、天井がかなり高く、音響がすごく良さそうなホールでした。
ホールの最後列の座席に着き、第1部が始まりました。

今回のコンサートは、宗次郎さんのオカリナに、いつもの伴奏メンバー、ピアノの蓮沼健介さん&ギターの小林健作さんの、3人によるアコースティックなトリオ編成でした。

宗次郎さんのオカリナ・サウンドをしっかりと味わえる編成なので、個人的に一番好きなコンサート編成です。

1曲目「森のこだま」。
ソプラノC管による、宗次郎さんの澄んだオカリナの音色のソロでコンサートスタート。

…すぐに、宗次郎さんの前にマイクが無いことに気付きました。

なんとマイク一切無しの、完全生音コンサートでした。
少し驚きましたが、とても嬉しくなりました。

完全生音なので、宗次郎さんのオカリナの音が、ダイレクトに伝わってきました。
宗次郎さんのオカリナの、マイク無し完全生音コンサートを聴くのは、2015年3月の大阪・貝塚公演の時以来でしたが、やはりいいですね!

マイクというフィルターを通さず、直接響き渡ってくる音を聴けたのが、とても嬉しかったです。

最初のMCで、宗次郎さんは、今回の公演を完全生音にしたことを説明。
マイクを使うかどうか考えたところ、会場の音響があまりにも素晴らしかったので、マイク無しでやることにしましたとのこと。

自分の席は最後列ながら、とてもよく響いて聴こえました。
マイク無しであれほどに響かせる宗次郎さんのオカリナ。やはり凄いなと思いました。

また、宗次郎さんは25年ほど前にも、一度小野市でコンサートをされておられるそうで、その時は、浄土寺というお寺でのコンサートだったそうです。
(浄土寺は調べたところ、国宝のお寺だそうです。宗次郎さんは、浄土寺の阿弥陀様の前で演奏した、その時のことも思い出しながら、小野に久しぶりに来られた喜びを語っておられました。)

そんな完全生音の素晴らしい演奏。
たっぷりと、宗次郎さんの生の音を楽しみ、あっという間に2時間が過ぎました。

そして、今回のコンサートで一番のサプライズが、アンコールでした。

アンコールでは、なんと、宮崎駿監督作品『千と千尋の神隠し』より主題歌「いつも何度でも」が披露されました!
宗次郎さんのオカリナによる、ジブリソングの生演奏を、コンサートで聴けるとは思っていなかったので、驚くと同時に感動しました!

宗次郎さんのオカリナ演奏版「いつも何度でも」は、『オカリナ・エチュード5~スクリーンミュージック』というCDに収録されてはいますが、今までに聴いた公演では、ジブリ関連の曲は一度も演奏されたことが無かったので、かなり驚きました。

素晴らしいサプライズでした。

公演後は、恒例のサイン会に参加。

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サイン会では、8月の根尾の淡墨桜コンサートも聴きに行ったことと、新曲「昔むかしの物語を聴かせてよ」に、とても感動したことをお伝えできました。

「新作、楽しみにしております!」とお話ししたところ、「ありがとうございます!来年の春に発売する予定ですよ」と教えて下さいました。

さらに、関西では来年10月に、新譜発売記念コンサートを伊丹で開くことも教えて下さいました!
お礼を言って、ぜひ行きます!楽しみです!と、お伝えできました。

貴重な情報を、ご本人からお伺いすることができて、とてもラッキーでした。


宗次郎さんのコンサートからは、いつも学ぶことがたくさんあります。
宗次郎さんの生演奏を聴いて、学んだことをしっかりと活かし、自分の演奏も磨いていきたいと思います。

来年の、新譜発売記念コンサートに行くのが今から楽しみな、本日の宗次郎さんのコンサートでした。


<本日のコンサートのプログラム>
(第1部)
・森のこだま(アルバム「オカリーナの森から」より)
・森に還る(同上)
・故郷
・かあさんの歌
・七つの子
~オカリナについて~
アイヌ民謡~竹田の子守唄~凪~馬子唄~水心
・コンドルは飛んでいく
・故郷の原風景(アルバム「木道」より)

15分休憩

(第2部)
・夕焼け小焼け
・小さい秋見つけた
・鳥の歌(カタロニア民謡)
・悲しい水(アルバム「水心」より)
・旅立ち(アルバム「あゆみ」より)
・母の歌(アルバム「オカリーナ森からⅡ」より)
・アヴェ・マリア(シューベルト)
・リュブリャーナの青い空(アルバム「天空のオリオン」より)
・大黄河(NHK特集『大黄河』テーマ曲)

(アンコール)
・いつも何度でも(宮崎駿監督作品『千と千尋の神隠し』主題歌)
・天空のオリオン(アルバム「天空のオリオン」より)

tag : 宗次郎

紅葉の長谷寺へ(2018秋・紅葉 第2弾)

3日前(2018年11月20日)に行きました、室生寺に続き、本日は奈良県桜井市の長谷寺へ、紅葉狩りに行って来ました。

室生寺も長谷寺も、とても大好きなお寺なので、この秋は、両方の紅葉を鑑賞出来て良かったです。

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長谷寺に行ったのは、今年の夏の終わり頃以来です。
その時は、まだ暑い時期だったので、ほとんど誰もいない状況でした。その分、ゆっくりと心静かにお参りできました。

長谷寺も室生寺も、自分の住んでるところから行きやすい場所にあるので、この日も昼過ぎごろから、ぶらりと出かけました。

今日は、勤労感謝の日と言うことで祝日でしたので、そこそこ混んではいましたが、ゆっくり見て回れました。
(京都の名所とかに比べれば知れているというか、まだ、ゆとりのある状態だと思います)

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山門・仁王門の素晴らしい彫刻、いつ来ても素晴らしいです。

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室生寺と同じく、長谷寺も見事な紅葉で、ちょうど見頃を迎えていました。

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山の上なので冷えてはいましたが、風のない穏やかな天気だったので良かったです。山々も美しく色づいています。

今回は、初めて特別拝観を申し込み、本堂の内陣へと進みました。
そして、ご本尊である十一面観音像のすぐそばで、おみ足に触れて拝観することができました。

間近で見上げる観音様は、本当に大きく圧倒的でした。

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五重塔の周りも真っ赤に色づいていました。

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本堂の舞台からの素晴らしい眺め。
僕は、ここからの山々の眺めが大好きで、いつも長谷寺をお参りすると、この舞台から10分くらいは、ぼ~っと眺めています。

いつの日か、この舞台の上でコンサートを開けたらいいなと夢見ています。

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真っ赤な紅葉に包まれた長谷寺の伽藍。
まさに浄土を思わせる美しさでした。

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五重塔と紅葉。
実はこの塔は、昭和時代の戦後すぐくらいの頃に建てられた塔で、長谷寺の中では、比較的新しい建造物となるそうです。
でも、そう思わせない存在感と美が感じられます。

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奥の院では、なんと桜が咲いていました。
花見と紅葉狩りを同時にできました。

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夕刻になり、灯籠にも灯がともり、いい感じになっていました。

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長谷寺の全景。壮観でした。

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本坊の所には、天皇皇后両陛下の、御手植松もありました。

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長谷寺の降りる道沿いにある小さな池も、紅葉の錦色に飾られていました。


今日は、美しい紅葉を見れてリフレッシュできました。
三日前の、室生寺とともに、紅葉を満喫できた一週間になりました。

個人的に、大好きな古寺の1位が室生寺で、2位が長谷寺ですね。
日帰りで気軽に行ける場所に、こんなにも美しいお寺があるのは、本当に恵まれていると感謝しています。

今後も、四季折々に訪れては、愛していきたい場所です。
室生寺や長谷寺から感じられる、“日本の美”や“和のこころ”を大切に、自らの音楽に活かして行きたいと思います。

tag : 長谷寺紅葉

紅葉を見に、秋の室生寺へ(2018年秋)

今日は、紅葉を見に、大好きな室生寺へ行って来ました。

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奈良県宇陀市の室生という所にある、大和の古寺名刹・室生寺
古来より、女人高野と称えられてきた、美しいお寺です。

僕は、室生寺が大好きで、昨年に続き、今年も参詣しました。
(去年は、誕生日に行きました→http://freshgreennewage.blog88.fc2.com/blog-entry-228.html

四季折々、美しく、いつの季節に行っても素晴らしいのですが、今年は紅葉を見に行きたいと思い、出かけました。
室生寺の紅葉を見るのは、10数年ぶりになるかと思います。

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山門の周辺は、見事に真っ赤に色づいていました。

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昨年の12月6日以来なので、約一年ぶりの訪問でした。

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平日で、しかも昼過ぎから出かけたので、人込みは無くゆったりと紅葉を見ることができました。
バスの運転手さんの話では、朝は凄く混んでいたそうです。

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仁王門を入ってすぐの辺りが、今ちょうど見ごろを迎えていました。

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金堂のまわりも、紅葉。

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社には、龍神さまが!

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室生寺は、山の斜面に伽藍が広がっています。

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本堂の紅葉も美しいです。

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奈良の古寺には、紅葉が本当によく似合います。

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上の方は、まだ青葉のところもあります。紅葉はこれからですね。

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もみじの古木。
もののけ姫のコダマが出てきそう。

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室生寺で一番好きなのが、この五重塔です。
約20年ほど前に、台風で甚大な被害を受けたものの、そこから不死鳥のように蘇った美しい塔です。

僕が初めて室生寺を訪れたのは、この塔の修復が完成した、2000年の夏のことでした。
この五重塔に、初対面した時の感動は今でもよく覚えています。

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赤と黄色と、緑の青葉のコラボレーション。
この様子だと、まだ、あと1~2週間くらいは、紅葉を楽しめそうです。

伽藍の下の方よりも、山の上の方が、まだ全体的に青葉な感じでした。

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室生寺参詣後、少し山歩きをしました。
そして、室生の山中で、ホイッスルの演奏をしました。

ちょうど、昨年も吹いた場所と同じところで、吹きました。

室生の山は、龍神信仰が盛んなところです。
龍神様の耳にも届いたかな?


室生寺の紅葉、とても満喫できました。
今日は時間的に、室生寺だけでしたが、もう一つの大好きな古寺・長谷寺の紅葉も見てみたいですね!

長谷寺は、この前の夏の終わりに行きました。
後日、もし時間がとれたら、長谷寺の紅葉も見に行ってみたいと思います。
(3日後に無事、長谷寺に見に行くことができました→http://freshgreennewage.blog88.fc2.com/blog-entry-301.html

tag : 室生寺

大阪府立弥生博物館&弥生時代の集落遺跡・池上曽根遺跡へ

今日は、大阪府和泉市にあります、弥生時代の巨大集落跡・池上曽根遺跡と、その遺跡のそばの博物館・大阪府立弥生文化博物館へ行って来ました。

私アシタツは、大の歴史好きで考古学ファン。

この池上曽根遺跡と弥生博物館も、15年ほど前に一度行ったことがあり、久々の訪問となりました。

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池上曽根遺跡は、今から約2000年前の、弥生時代に存在した巨大集落が発掘された場所です。

発掘跡に当時の建造物が復元されており、歴史ロマンを感じることができます。

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遺跡の中でも、一際、大きな建造物が、高床式の建造物。
弥生時代の神殿のようです。

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横から見ても、その大きさがよくわかります。

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実は、15年前に来た際には、神殿内に入れたのですが、今年9月の台風で大きな被害があったそうで、現在は封鎖されていました。無事、復旧されるといいのですが…。

遺跡内の情報館では、ボランティアの方より、この遺跡が見つかったいきさつなど、色々とお話が聴けて良かったです。
その後、遺跡の隣にある、大阪府立弥生文化博物館へ行きました。


博物館内は、弥生時代に関する展示がぎっしりで、見所満載!
しかも、一部を除いて、写真撮影がOKという、素晴らしい展示内容です。

少し紹介したいと思います。

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こちらは、弥生時代の一家団欒の様子。楽しそうな会話が聞こえてきそう。

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全国の弥生遺跡のマップ。
ちなみに、池上曽根遺跡は約二千年前の巨大集落です。

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収穫の道具、石包丁。

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弥生時代の田植えの様子。

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こちらは弥生時代の実りの秋。

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弥生時代の犬。きつねっぽい感じですね。
ちなみに、この博物館のキャラクターで“カイト”という犬のキャラのモデルだそうです。

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顔のついた土器。
なんかシュールな感じ…。

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復原された、邪馬台国の中心、卑弥呼の舘。
見ごたえのあるジオラマです。

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卑弥呼の舘、横から見る。

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歴史の教科書に必ず載ってる、金印。実物は3センチ四方ほどのサイズ。意外と小さい。

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こ、この後ろ姿は…!?

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邪馬台国女王の卑弥呼!…の等身大の人形です。
想像で作られた人形ですけど、こういう顔の人、どっかにいてそう…。

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こちらは、卑弥呼の食事。
めっちゃご馳走…。

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銅鏡にも、色んな種類があるのがよくわかる。

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常設展示室の出口では銅鐸を鳴らすことができます。
カーンという、鐘の音を高くした感じの音色です。

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弥生のドラゴン。
こちらも、博物館のキャラのリュウさんという龍のモデルだそうです。

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特別展の古代エジプト展も見学。
見所がいっぱいです!

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実は僕は、弥生文化博物館のキャラクター、カイトとリュウさんの大ファンなんです!
キャラクターが可愛い!受付カウンターでマンガ本を購入しました。

カイトとリュウさんの漫画とアニメは、博物館のホームページでも公開されています。
http://www.kanku-city.or.jp/yayoi/manga_blog/index.html

こんなにすごい展示ですが、実はこれらの写真は、展示のほんの一部。
考古学好きや古代史好きにはたまらない、素敵な博物館です。

見ごたえのある展示と、分かりやすい解説。そして、豊富なビジュアルで、弥生時代や邪馬台国の時代にタイムトリップ出来ます。

実は、邪馬台国をテーマにした、ヒーリング・ホイッスルのオリジナル作品の構想を練っていたのですが、とてもいい刺激と知識を得ることができました。ぜひ、作りたいと思います!


大阪府立弥生博物館、おススメの博物館です!

大阪府立弥生博物館ホームページ
http://www.kanku-city.or.jp/yayoi/

新曲『合掌ノ里~郷愁・五箇山~』に込めた想い~ダム湖に沈んだ、ある合掌集落の哀しいお話~

この度公開いたしました、アシタツ最新作『合掌ノ里~郷愁・五箇山~』。


作編曲:アシタツ(feat.五箇山民謡・こきりこ)
ヒーリング・ホイッスル&キーボード演奏:アシタツ

 この作品に込めた想いについて、書いておこうと思います。

 北陸三部作の3作目として、富山をテーマにした曲を構想していましたが、この曲を作るきっかけは、昨年2017年8月に行った、五箇山・白川郷への旅でした。
(その旅の記事はこちら→2017年夏旅 福井若狭~五箇山・白川郷への旅

 五箇山ファンの自身にとって、20年ぶり三度目の訪問となった旅でした。
 この旅の中で、白川郷・合掌造り民家園にて展示されていた内容に、とても心打たれました。

 それは、常設展示の“秘境「飛騨加須良・越中桂」写真展”でした。
(展示詳細→http://www.shirakawago-minkaen.jp/exhibition


 かつて、岐阜県と富山県の県境の深山に、2つの合掌民家の集落が、山を隔てて隣り合って存在し、互いに助け合って暮らしていたそうです。
 
 それぞれ、7軒ほどの合掌民家が並ぶ、秘境の小さな集落で、岐阜県白川村側の集落が“飛騨加須良(かすら)”。そして、富山県五箇山側の集落が“越中桂”という集落だったそうです。

 先祖代々、受け継がれてきた合掌民家と耕地を、大切に守って自給する生活を送っていたそうなのですが、高度経済成長期のさ中、過疎化により、昭和42年に飛騨加須良の人々が集団離村し、集落は消滅…。
 助け合ってきた集落が消えてしまったことにより、越中桂の人たちだけでは生きていくことが困難となり、3年後の昭和45年に、越中桂の人々も集団離村。両集落は消滅してしまったとのことです。

 この両集落の人々を最も苦しめたのが、冬の豪雪だったそうです。

 雪に閉ざされると、完全に陸の孤島となってしまうため、急病人がでても医者に診てもらうこともできず、病んだ赤ん坊や幼い子供の命が失われたそうです。
 真冬に命を落とした子がいても、埋葬するための死亡診断書を得るには、雪が溶ける季節まで待たねばならず、遺影もないまま数か月、埋葬もできないという悲劇があったそうです。

※今は無き、二つの合掌集落の貴重な写真は、こちらのサイトで見ることができます。
合掌物語「飛騨加須良・越中桂の悲しい物語り」
 また、以下の方々のブログやサイトでも、詳しく紹介されています。
・回想 合掌部落 越中桂飛騨加須良
・いこまいけ南砺

 現在、飛騨加須良の集落跡は山林に変わり、民家は白川郷・合掌民家園に移築されて公開されています。
 そして越中桂は…。越中桂の集落跡は、1993年に建造されたダム湖に沈み、今は湖底に眠っているそうです…。


 この集落についての展示や写真を見て、心に何とも言えない感情が湧き上がって来ました。

 冬の豪雪の孤立した集落という、想像を絶する環境下で、生活を送っていた人たちがいたということ。
 その人たちが生き、生活を営み、喜び哀しみ、人生を送った村が消滅していったという重い歴史…。

 かつて日本には、このように消えて行った集落が数多くあったはずです。
(母から聞いた話では、福井の山奥でも、同じような、過疎による集落離村があったそうです)

 町育ちの自分などが、哀しいとか切ないなんて言うのは、正直おこがましいと思うけれど、展示を見てその歴史を知り、心に湧き上がって来た正直な感情が、哀愁でした。

 田植えをする人や、笑顔の村人の写真、人々が暮らした合掌民家の写真などを見ていると、目頭が熱くなってきました。

 かつて存在した合掌集落。
 そこで生きてきた人たちの“こころ”。

 夏には野山で駆け回って遊ぶ子供たち、秋には収穫に感謝する祭りを楽しむ村人たち…。
 何百年と受け継がれていた、大切な故郷の村を、捨てなければならない哀しい宿命…。

 失われてしまった村で、かつて人々は、笑い泣き喜び歌い…さまざまな営みを、時代を越えて紡いできたはずです。
 そんな人々の“こころ”が、伝わってきた思いがしました。

 その時に感じた“こころ”をこめた曲を作りたい!
 そう思ったのが、この曲を作る最大の動機となりました。

 さらに、五箇山の相倉集落に泊まり、代々守られて来た美しい里山の風景と、人々の暮らしに触れ、創作意欲が湧きたちました。
 五箇山で感じた“日本のこころ”を込めた曲を作る。その思いを着想点に、曲作りに取りかかりました。

 ところが、曲作りは難航しました。
 何度も作っては気に入らず、やり直しの連続でした。

 あの展示を見た時に感じた、失われた合掌の村の人々の“こころ”がこもったメロディーになっていない!
 そう感じてしまうことの連続でした。

 その間、童謡唱歌や世界の名曲のカバー演奏や、ジブリ音楽のカバー演奏にも取り組みました。
 でも、この五箇山をテーマにしたオリジナル曲は、中々生み出せずにいました。

 ところがある時、フッとメロディーが浮かんできました。
 「これは、なかなかいいメロディーかもしれないぞ。」と思い、譜面に書き取っておきました。

 今年、自身が取り組んだ最大のプロジェクト、“ヒーリング・ホイッスルで奏でる「となりのトトロ」の世界”が完成し、いよいよ本格的に、五箇山をテーマにした新曲に取りかかった際、譜面に書き取っておいたメロディーをもとに、曲を作って行きました。

 あんなに難産だったはずの曲が、3日間で集中して創り上げることができました。
 作っている際、途中からは、シンセサイザーを弾く自分の手が、勝手に自然に動いて行くような感覚になりました。まるで、何かが乗り移っているかのように…。もしかしたら、展示で見たあの二つの合掌集落の人たちの“こころ”が、手を動かしてくれたのかもしれません。

 着想から1年以上もかかり、ようやく完成できました。

 完成できた曲を聴いていると、自然と涙があふれてきました。
 あの、展示の写真を前にして、目頭が熱くなったのと同じ感動でした。

「やっとできた!あの展示の写真を見て感じた“こころ”が込められた作品ができた!」
 そう思いました。

 
 現在、五箇山・白川郷の合掌集落は、世界遺産に登録され、全世界から多くの観光客が訪れます。

 美しい景色を見て、記念写真を撮って楽しむのも、もちろんいいのですが、かつて失われた合掌集落の人々のことも知り、想いを馳せ、その人たちの“こころ”を、合掌民家から感じることも大事な気がします。
 そして、長い歴史の中で大切に守られてきた合掌民家を見て、そこに生きてきた人たちの、ぬくもりに触れることで、真に深いところで“日本のこころ=五箇山・白川郷のこころ”に触れることができるような気がします。
 

 昨年の五箇山への旅で感じた、様々な思いを曲に込めることができました。
 
 完成した新曲の『合掌ノ里~郷愁・五箇山~』は、自らの代表作として、一生大事に演奏していきたいと思います。

新作オリジナル曲『合掌ノ里~郷愁・五箇山~』公開!!北陸三部作、ついに完成!

ヒーリング・ホイッスルのオリジナル曲・完全新作が完成しました!
最新作『合掌ノ里~郷愁・五箇山~』を公開しました。


【ヒーリング・ホイッスル オリジナル曲】
合掌ノ里~郷愁・五箇山~

作曲・編曲:アシタツ(feat.五箇山民謡・こきりこ)
ヒーリング・ホイッスル&キーボード演奏:アシタツ





世界遺産でもある、富山県の五箇山・合掌造りの里。
自分自身、五箇山が大好きで、今までに3度、訪れています。

この五箇山の美しい風景・日本の原風景をテーマに、作品を創りました。
日本の心を感じられるような、和のメロディーとサウンドにこだわって作りました。

時間がかかりましたが、その分、自身の代表作と言えるような傑作を作り出せたと自負しています。
また、間奏部では、五箇山民謡「こきりこ」をフィーチャリングしています。
(ケルトのホイッスルによる、民謡「こきりこ」演奏は稀少だと思います)

映像では、昨年8月に五箇山で撮影した写真をふんだんに使いました。
音楽とともにお楽しみ下さい。


昨年から取り組んできました、北陸をテーマにした、ヒーリング・ホイッスルのオリジナル曲制作。
~北陸三部作~が遂に完成です。

ぜひ、お聴きください!


※アシタツ・ヒーリングホイッスル~北陸三部作~
『雪花ノ庭~風雅・兼六園~』(石川・金沢)
https://www.youtube.com/watch?v=JDL-OJpv-ls


『桜華ノ谷~爛漫・一乗谷~』(福井・一乗谷)
https://www.youtube.com/watch?v=RJwVhGq8f90


『合掌ノ里~郷愁・五箇山~』(富山・五箇山)
https://www.youtube.com/watch?v=8jbcBrEo0HY


テーマ : YouTube動画
ジャンル : 音楽

tag : ティン・ホイッスル五箇山富山北陸こきりこ

『となりのトトロ』公開30周年!ヒーリング・ホイッスルで奏でる“トトロの世界”全10曲!

『となりのトトロ』公開30周年記念としまして、『トトロ』の音楽をヒーリング・ホイッスルで演奏するプロジェクト。
全10曲の一覧を作りました。

ぜひ、お楽しみください!


作曲・原編曲:久石譲
編曲:アシタツ
ヒーリング・ホイッスル&キーボード演奏:アシタツ


『となりのトトロ』公開30周年記念
ヒーリング・ホイッスルで奏でる“となりのトトロ”の世界
①「さんぽ」
②「風のとおり道」(アコースティック・バージョン)
③「オバケやしき!」
④「おかあさん」
⑤「風のとおり道」(シンセ伴奏・バージョン)
⑥「ずぶぬれオバケ」
⑦「小さな写真」
⑧「まいご」
⑨「ねこバス」
⑩「となりのトトロ」


<YouTubeより>
①さんぽ


②風のとおり道(アコースティック・バージョン)


③オバケやしき!


④おかあさん


⑤風のとおり道(シンセ伴奏・バージョン)


⑥ずぶぬれオバケ


⑦小さな写真


⑧まいご


⑨ねこバス


⑩となりのトトロ

テーマ : 演奏してみた
ジャンル : 音楽

tag : ティン・ホイッスル久石譲ジブリとなりのトトロ

名曲「となりのトトロ」公開!~ホイッスルで奏でる“となりのトトロ”の世界~第10弾!

~『となりのトトロ』公開30周年記念~
第10弾「となりのトトロ」

『となりのトトロ』公開30周年記念としまして、『トトロ』の音楽をヒーリング・ホイッスルで演奏するプロジェクト。
いよいよ最終曲、10曲目「となりのトトロ」が完成しました!

これで、プロジェクト全10曲が遂に完成です!

最後の10曲目は、主題歌の「となりのトトロ」。
まさに名曲中の名曲。

原曲の雰囲気を大切にしつつ、ホイッスルの音色に合うような、癒し系音楽・ニューエイジ風味のアレンジに仕上げました。
トトロらしい、優しい雰囲気になればと思い、温かい音色を中心に編曲しました。

ぜひ、お聴き下さい!


「となりのトトロ」
作曲:久石譲
編曲:アシタツ
ヒーリング・ホイッスル&キーボード演奏:アシタツ




『となりのトトロ』公開30周年記念
ヒーリング・ホイッスルで奏でる“となりのトトロ”の世界
第1弾「さんぽ」
第2弾「風のとおり道」(アコースティック・バージョン)
第3弾「オバケやしき!」
第4弾「おかあさん」
第5弾「風のとおり道」(シンセ伴奏・バージョン)
第6弾「ずぶぬれオバケ」

第7弾「小さな写真」
第8弾「まいご」
第9弾「ねこバス」
第10弾「となりのトトロ」

テーマ : 演奏してみた
ジャンル : 音楽

tag : ティン・ホイッスル久石譲スタジオジブリとなりのトトロ

2018年・第19回天満音楽祭、ありがとうございました!

本日2018年10月28日開催の、大阪・天満音楽祭に出演させていただきました。

聴いて下さったお客様、お世話になりましたスタッフの皆様、どうもありがとうございました!

今回はお寺での演奏ということで、落ち着いた雰囲気の会場で、ゆったりとした気持ちで演奏することができました。
先日の、奈良・春日野音楽祭と同じく、ヒーリング・ホイッスルで奏でる“ジブリの世界”をテーマに、今回はマンドリンとのデュオ“アシタツ&BunKan”で出演させていただきました。

ありがとうございました!!

<本日の天満音楽祭で演奏した曲>
▷ヒーリング・ホイッスル&マンドリンで4曲
「テルーの唄」(『ゲド戦記』より)
「もののけ姫」(『もののけ姫』より)
「風のとおり道」(『となりのトトロ』より)
「ハトと少年」(『天空の城ラピュタ』より)

天満音楽祭公式サイト:http://ten-on.jp/

tag : 天満音楽祭

久石譲ジブリ音楽レビュー(5)『となりのトトロ イメージ・ソング集』

久石譲×宮崎駿監督作品・第3作『となりのトトロ』
『となりのトトロ イメージ・ソング集』
※タイトルをクリックすると、Amazonの商品ページに飛びます

イメージアルバムで初めて、歌で構成された作品。

発売日:1987.11.25(発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ)

Produced by Joe Hisaishi
作曲・編曲:久石譲

<レビュー>
①となりのトトロ
・作詞:宮崎駿
・歌:井上あずみ
 『となりのトトロ』のイメージアルバムにあたるこの作品は、当時の宮崎駿監督作品の関連アルバムとしては、初めて“歌もの”アルバムとして制作された。そのトップバッターの曲が、おなじみのトトロ主題歌「となりのトトロ」である。
 映画本編ではエンドロールで流れ、エンディング主題歌の役目を担っている。
 口ずさみやすく親しみのあるメロディーは、古今東西老若男女を問わず万人に愛される、久石さんの代表作の一つとなっている。
 このイメージソング集に収録の「となりのトトロ」を聴くと、すでに完全に完成された楽曲となっており、全く同じ状態でサウンドトラックにも収録されている。
 この辺り、イメージアルバムとサウンドトラックとで大きく異なっていた、前作『天空の城ラピュタ』「君をのせて」の時とは違うと言える。
 ラピュタとは違い、トトロの場合は、イメージソング集でもサウンドトラックでも、どちらを入手しても、主題歌「となりのトトロ」を聴くことができる。

②風のとおり道
・作詞:宮崎駿
・歌:杉並児童合唱団
 トトロ関連の音楽の中で、主題歌「となりのトトロ」「さんぽ」とともに、人気が高い曲がこの曲。
 「風のとおり道」は、映画本編で、“トトロの住む森の大樹=大きなクスノキ”が画面に登場する際などで流れる、5音音階を基調とした印象的なメロディーの原曲。
 このイメージソング集では、歌の入っているバージョン(2曲目)と歌無しのインストゥルメンタル・バージョン(11曲目)が収録されている。
 両方ともアレンジは同じもので、この2曲目は“歌”のバージョン。
 宮崎駿さん作詞の歌を、杉並児童合唱団が爽やかな歌声で、歌いあげている。
 子どもたちのコーラスに耳を傾けていると、新緑の森の、澄んだ風に包まれているような…そんな清涼感に満ちた感覚になれる。
 真にすぐれたメロディーは、歌入りでもインストでも素晴らしい名曲であるということを、この曲は証明している。

③さんぽ
・作詞:中川李枝子
・歌:井上あずみ&杉並児童合唱団
 映画オープニング主題歌「さんぽ」の原曲。
 ほとんどそのままの形で、映画本編やサントラに使われているが、それとは異なっているのが、イントロ部。
 映画では、バグパイプ風の音によるメロディーが印象的なイントロとなっているが、このイメージソング版「さんぽ」では、その部分は特にメロディーは無く、大太鼓とシンバルによる、マーチのリズムによるイントロとなっている。
 それ以外は、イメージアルバムの段階で既に完成された楽曲となっており、おなじみの明るく元気な曲調を楽しむことができる。
 また、映画本編やサントラは、井上あずみさんのソロでの歌唱だが、このイメージソング版は、井上あずみさんと児童合唱団のコーラスで歌われている。

④まいご
・作詞:中川李枝子
・歌:井上あずみ
 明るめの曲が多いトトロの音楽の中で、この曲は唯一と言ってもよい切ない曲調の作品。映画終盤の迷子になるメイのシーンで流れるメロディーだが、哀しいムードが漂うメロディーである。
 原曲であるイメージソングの「まいご」は、歌詞の内容も哀しげ…。
 メイを探すサツキの心情を歌った歌詞だが、かなり悲痛な内容となっている。
 メロディーラインの最初の出だしが、ちょっと「君をのせて」と似ているが、コード進行も近いものになっている。アレンジ面でも、「君をのせて」と同じく、マリンバの音を多用した編曲で、80年代後半の久石さんの特徴的なアレンジとなっている。
 サウンドトラックの12曲目に、ボーナストラック的にこの曲がそのままの形で収録されている。

⑤すすわたり
・作詞:中川李枝子
・歌:杉並児童合唱団
 映画序盤に登場する、“まっくろくろすけ”こと“すすわたり”のイメージ・ソング。
 コミカルな曲調で、時折入る“ア゛”という感じの、人の声を加工したサウンドエフェクトが面白い。このようなサウンドエフェクトは映画本編でも使用されていた。
 トトロのイメージ・ソングの中では、この曲がもっとも童謡っぽい雰囲気を持っている。
 かわいくて、ちょっととぼけた感じもあるメロディーラインを、児童合唱団が楽しげに歌っている。聴いていて、思わず頬がゆるむような、愛らしい曲である。

⑥ねこバス
・作詞:中川李枝子
・歌:北原拓
 映画本編の、ねこバスに乗って迷子のメイを探しに行くシーンの音楽(サウンドトラック17曲目「ねこバス」)の原曲が、この曲のメロディー。
 サントラでは、オーケストラ・サウンドで演奏されていたが、この原曲版は、ドラムスやベースなどが入ったバンド・サウンドのアレンジとなっている。
 陽気でノリのいいメロディーとアレンジが魅力的。
 歌詞の内容も、まさに、ねこバスのイメージそのものを歌にしたもので、聴いていると、あのニヤニヤ笑いが目に浮かんでくる。
 歌っておられるのは、当時、アニメソングや特撮ソングの歌手として活動されていた北原拓さん。80年代に活躍しておられたようだが、最近の活動は調べても出てこない…。今は、あまり活動はされておられないのだろうか…。

⑦ふしぎしりとりうた
・作詞:中川李枝子
・歌:森公美子
 トトロのイメージ・ソング集の中で、最もクールでカッコいい曲。
 ノリのいいリズムアレンジで(リズムアレンジは80年代の雰囲気ではあるが)、このアルバムの中でもっともポップな曲。だが、さすがに、トトロの世界観とは合わないと判断されたのか、映画本編では未使用のモチーフとなった。
 歌っているのは、タレントとしても知られる、声楽家・歌手の森公美子さん。
 しりとりのようになっているユニークな歌詞を、ソウルフルでパワフルな歌声で歌っている。
 イントロのマリンバによるミニマル・フレーズが、久石さんらしいサウンドで、よく似た表現が『ソナチネ』テーマ曲などでも見受けられる。
 そのイントロからの、リズム・マシーンのドラムサウンドやシンセ・ブラスが、とにかくカッコいい!
 マイケル・ジャ〇ソンとかが歌っていても不思議じゃないくらい、クールでポップな曲調である。さすがは、クインシー・ジョーン…じゃなくて久石譲さん。久石さんの音楽性の幅広さを、あらためて体感できるナンバーである。

⑧おかあさん
・作詞:中川李枝子
・歌:井上あずみ
 おかあさんが入院している病院へ、お見舞いに行った帰り道。お父さんがこぐ自転車に、メイとサツキとで3人乗りして、茶畑の中を通りながら、お母さんのことを話すシーンで使われた曲の原曲。
 映画本編で流れたバージョンは、サントラに収録されているが、そちらは歌詞は無く、井上あずみさんのスキャットでメロディーが歌われていた。
 対して、このイメージソングの方は、お母さんに会いたい気持ちやお母さんを愛する気持ちが歌詞に込められた、印象的な美しいバラード。
 メロディーラインも非常に美しく、久石さんらしい抒情的な旋律を味わえる良曲。
 映画本編では、それほど多くは登場しなかったメロディーだが、その優しくて流麗な旋律は、とても印象深いものだった。
 ぜひ、このフル・バージョンも、多くの人に聴いてほしいと思う。

⑨小さな写真
・作詞:宮崎駿
・歌:久石譲
 8曲目に続いて、こちらもとても抒情的でさわやかなメロディーの曲。そして何より、歌っているのは、作曲した久石さん本人!
 ピアノを弾いたり、オーケストラを指揮している久石さんの姿しか見たことが無い方には意外に思われるかもしれないが、80年代後半~90年代前半頃にかけては、オリジナル・アルバムなどで歌を披露されている。
 ただ、ジブリ関連の作品の中では唯一、この曲のみが、久石さんの歌声を聴ける作品となっている。そういう意味では、貴重な曲と言える。
 “お母さんが小さな女の子だった頃の写真”が歌のテーマとなっていて、美しい旋律と相まって、郷愁を誘う良曲となっている。
 残念ながら、映画本編ではこの曲は使用されなかったが、もっと評価されるべき名曲である。
 後に、宮崎駿監督がプロデュースしたアルバムで、上條恒彦さん(『紅の豚』のマンマユート団ボスや『もののけ姫』のゴンザ、『千と千尋』の父役どのの声担当)が、「お母さんの写真」のタイトルで、この曲を歌っている。

⑩ドンドコまつり
・作詞:W・シティ制作部
・歌:井上あずみ
 月夜に、庭であやしげなオバケが、ドンドコ踊り、昼間にまいたドングリが芽を出してぐんぐん伸びていく…という内容の歌詞だが、トトロのファンの方なら、映画のどのシーンのことを描いた歌かは一目瞭然と思う。
 実際の映画本編では、この曲自体は使われず、太鼓の音の要素のみ、少し使われた程度だった。とは言え、映画のあのシーンを思い浮かべられる、まさに“イメージソング”と言える。
 楽しげなメロディーと歌詞がピッタリはまっており、聴いていてワクワクするような愉快な曲である。
 曲のエンディングのブルース・ハープが、とてもカッコいい演奏をしている。
 作詞が、W・シティ制作部となっており、久石さんのプロダクションの“ワンダーシティ”のことと思われるので、久石さんもある程度(もしかしたら、かなりの程度)この曲の作詞に携わっておられるのかもしれない。

⑪風のとおり道(インストゥルメンタル)
 杉並児童合唱団が歌っていた2曲目「風のとおり道」のインストゥルメンタル・バージョン。
 歌声のトラックを除いたカラオケのようになっているが、このインスト版には、シンセ・ベル系の音などでメインのメロディーがしっかりと演奏されている。そこから推察して、この11曲目のインスト版に合唱を吹き込んだのが、2曲目だったのかもしれない。
 実際の映画の中で流れる音楽は、この原曲インスト版に近いものとなっており、イメージアルバムの段階で、すでに高い完成度を誇っている楽曲と言える。
 演奏楽器はシンセサイザーの音色だが、マリンバのミニマル・フレーズや、ベル系のサウンド、透明感のあるホイッスル系リード音などが使われ、とてもナチュラルな響きを味わえる作品である。
 緑の木々、見上げるような大樹、木漏れ日の中を吹き抜ける爽やかな風…そんな、日本の自然の光景が目に浮かんでくるような、傑作・名曲であると言える。


<総評>
 根強い人気を誇る、宮崎駿監督の『となりのトトロ』。
 そのイメージアルバムにあたるのが、この作品である。
 タイトルが“イメージ・ソング集”となっていることからも分かるように、本作はインストゥルメンタルではなく、“歌もの”のアルバムとなっている。(唯一、ボーナストラック的な11曲目の、「風のとおり道(インスト版)」のみが器楽曲である)
 他の作品のイメージアルバムでも、歌が入っている曲が何曲か収録されている例は、いくつかある。
だが、ほぼ全曲にわたって、歌ものになっているのは、となりのトトロのイメージアルバムだけで、その点が最大の特色となっている。
 このことによって、普段あまりインストゥルメンタル音楽を聴かない人や、小さな子供たちでも、歌詞の持つイマジネーションを通して、トトロの世界を音楽で想像することができるアルバムとなっている。
 収録曲は、映画の2つの主題歌「となりのトトロ」と「さんぽ」をはじめとして、「風のとおり道」や「まいご」など名曲揃い。
 特に2つの主題歌はラピュタの時とは違って、イメージアルバムの時点で完全な状態で完成されており、このアルバムに収録されたものと同じアレンジで、サントラにも収録されている。なので、トトロの主題歌が収録されたCDを探していて、イメージ・ソング集とサウンドトラックのどちらを購入するべきか迷った場合、単に2つの主題歌を聴きたいという目的ならば、どちらを購入しても大丈夫ということになる。(あとは、歌もののアルバムが好きならイメージ・ソング集を、インスト曲が好きだったり、映画のBGMも欲しい場合は、サウンドトラックを購入すると良い)
 「となりのトトロ イメージ・ソング集」は、久石さんが手がけたジブリ音楽のアルバムの中でも、最も優しく温かい作風のアルバムである。
 メロディーも、親しみやすい曲ばかりなので、万人にお薦めできる作品と言える。
 トトロの世界をイメージしたい時はもちろん、優しい気持ちになりたい時、童心を思い出して懐かしい気持ちになりたい時などにもおすすめ。
 また、落ち込んだ時に聴けば、きっと元気を与えてくれることだろう。


久石譲ジブリ音楽・目録


☆『となりのトトロ イメージ・ソング集』より「風のとおり道」「まいご」「おかあさん」「小さな写真」を、ヒーリング・ホイッスルでカバー演奏しています。YouTubeで公開中です。よろしければ、ぜひご覧下さい。

「風のとおり道」


「まいご」


「おかあさん」


「小さな写真」

tag : 久石譲スタジオジブリジブリとなりのトトロ

喜多郎さん・第6回京都花山天文台野外コンサートへ

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 昨日2018年10月20日は京都へ行って来ました。
 世界的シンセサイザー奏者の喜多郎さんが毎年開催しておられる、京都大学花山天文台での野外コンサートに、昨年に続き、今年も行って来ました。

 今年で、第6回目の開催となったイベントですが、昨年の第5回に続き、2年連続2回目の参加です。
(昨年の記事はこちら→http://freshgreennewage.blog88.fc2.com/blog-entry-209.html

 昨年の記事でも紹介しましたが、会場の、京都大学の花山天文台は、創設89年という、歴史ある天文台です。
 そして、資金難から閉鎖の危機にあった際、所長の柴田一成教授と親交のあった喜多郎さんが、一肌脱いで野外コンサートを実施し、資金難の天文台を応援しようという趣旨から開始されたコンサートで、今年で6年連続の開催とのことでした。

 また、昨年に続いて、日本のアンビエント音楽の第一人者・岡野弘幹さんがゲスト出演。
 すごく楽しみにして、会場に向かいました。
(ちなみに、コンサートに行く前に、京都四条烏丸のケルトの笛屋さん・実店舗にも行きました→http://freshgreennewage.blog88.fc2.com/blog-entry-291.html


 昨年は、会場に着いた際は小雨が降っていましたが、今年は無事に晴れ。月夜の下での鑑賞となりました。

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※天文台は、京都市街地を見下ろす、山の上にあります。京都の夜景が良く見えました。

 昨年は後ろの方の席だったので、今年は、喜多郎さんのパフォーマンスをより間近で見たいと思い、早めの時間に現地に向かいました。(席は自由席です。無事最前列の席に座れました。)
 天文台がライトアップされて、夜空に浮かび上がっていました。

 会場は、京都の夜の、しかも山の上なので、防寒対策はガッツリと用意する必要があります。
 昨年は、途中で寒さに震え上がっていましたので、その経験を活かして、今年はコートやマフラー、膝掛けなど、真冬の格好で臨みました。(結果的に、大正解でした!)


 開演時間になり、京都大学の柴田所長の挨拶に続いて、コンサートが開演。
 コンサートの前半は、喜多郎さんと岡野弘幹さんのお二人のジョイント・ライブです。
 
 喜多郎さんがシンセの他、ハンマーダルシマーやパーカッションを演奏され、岡野さんはインディアン・フルートや竹笛、ブズーキを演奏。
 お二人の呼吸がぴったりと合った演奏で、CD化してほしいくらいのハイ・クオリティな演奏でした。
 これが、この夜のこのステージ・オンリーの演奏とは、凄く贅沢なパフォーマンスを堪能できました。

 パフォーマンス後の挨拶で、実は、即興演奏で構成していたとのこと。
 様々な民族楽器を駆使した、大変聴き応えのあるステージでした。

 
 コンサートの後半は、今夜のメインの、古事記と宇宙・映像ライブでした。

 この『古事記と宇宙』については以前の記事でも紹介しましたが、喜多郎さんが、京都大学花山天文台を訪れた際より、所長の柴田一成教授との親交が始まり、その後、柴田所長が喜多郎さんの代表作アルバム『古事記』を聴いて、非常に感銘を受け、その曲を聴いているうちに宇宙の様々な映像が目に浮かび、コラボレーションを思いついて企画・制作されたDVDです。
 
 喜多郎さんのアルバム『古事記』の音楽に、ピッタリ合った、宇宙の映像の数々を楽しめる映像集となっています。

『古事記と宇宙』(YouTubeで一部見ることができます→こちら
「太始 Hajimari」(宇宙・銀河の創生のCG映像)
「創造 Sozo」(太陽系の惑星の映像)
「恋慕 Koi」(天の川・星団・星雲などの映像)
「大蛇 Orochi」(太陽のフレアやコロナ・プロミネンス爆発の映像)
「嘆 Nageki」(オーロラの幻想的な映像)
「饗宴 Matsuri」(日食の様々な映像)
「黎明 Reimei」(人類が今までに歩んできた宇宙との関わりの映像)

 昨年は、天文台の壁に宇宙映像を投影する形でしたが、今年は天文台の壁にスクリーンを装着しての上映でした。
 
 なんと、このスクリーンは、喜多郎さんの手作りとのこと。映写機とスピーカーも全て自前とのこと!
 喜多郎さん、本当に凄いなと思いました。

 スクリーンのおかげで、映像がクリアに見えるようになっていました。
 年々、進化していますと仰っておられましたが、少しでもお客さんが、より楽しめるようにと工夫を加えていく、喜多郎さんのこころ配りが感じられました。

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※終演後に撮った、喜多郎さんのシンセの写真。

 今年は最前列の席で聴けて本当に良かったです。グラミー受賞アーティストのパフォーマンスを、わずか数メートルの距離の間近で観賞できました。
 演奏する喜多郎さんの体の動きや、呼吸感も、しっかり感じられました。

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※喜多郎さんのメインのシンセは、木目が美しいアナログ・シンセ。写真の左側の2台が、長年愛用しておられるアナログ・シンセ。

 このシンセの音色で、喜多郎さんはグラミー賞を受賞されました。
 そのシンセが目の前に!しかも弾いている姿を、目前で拝めました。

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※デジタル・シンセは、コルグのM3。こちらは笛系の音色を主に鳴らしておられました。

 終演後のサイン会にも参加しました。
 喜多郎さんに、いつも元気をいただいております!と、お礼をお伝えできました。

 本当に素晴らしいコンサートでした!


 ここからは、喜多郎さんの『古事記と宇宙』ライブの考察を紹介したいと思います。

 『古事記と宇宙』映像ライブは、昨年の8月の福知山、10月の花山天文台に続いて、今回が3回目の鑑賞となりました。
 3回も鑑賞したことで、色々と気付いたことがありますので、紹介します。

 まず、販売もされているDVD版の『古事記と宇宙』は、喜多郎さんのアルバム『古事記』のCD音源を、そのまま使った形となっています。
 ですので、『古事記』のCDを持っておられる方は、このDVDでは、音自体は全く同じ内容を聴くことになります。

 それに対して、映像ライブでの音源は、CDアルバム版『古事記』とは異なる、特別音源が使用されています。
 ライブ用のオリジナル音源ですので、CDアルバムを持っている方でも、映像ライブでは、まったく別バージョンのアレンジの『古事記』を楽しむことができます。

 その、映像ライブ用特別版『古事記』の音源ですが、そのベースとなっているのは、“シンフォニック・ワールド・ツアー2014”でのアレンジのようです。

 このツアーは、喜多郎さん初のオーケストラとの共演によるコンサートツアーでしたが、このコンサートツアーのプログラムの目玉が、アルバム『古事記』のオーケストラ・バージョンでした。僕は2014年に、このシンフォニック・コンサートの名古屋公演を鑑賞しました。

 そのツアー時の演奏の中から、「大蛇 Orochi」「饗宴 Matsuri」「黎明 Reimei」の3曲は、CD『シンフォニー・ライブ・イン・イスタンブール』に収録されています。
※『シンフォニー・ライブ・イン・イスタンブール』に関しては、本ブログの記事“<特別コラム>喜多郎と宗次郎~似てる?似てない?徹底比較!!(後編)”でも紹介しています。よろしければご覧下さい。

 『古事記と宇宙』映像ライブの音源は、このシンフォニー・コンサートの時の、オーケストラ演奏のアレンジによる音源をメインにしつつ、シンセのメロディーパートなどの音を抜いてカラオケ音源を構築、さらに色々と効果音などを新たに加えて構成されています。
 そのバック音源(カラオケ音源)に合わせて、メロディーパートなどを、喜多郎さんがシンセで生演奏する形のライブとなっています。 

 「太始 Hajimari」の冒頭では、映画『天と地』のサントラ(5曲目「ヴェトナム共和国陸軍」や15曲目「スティーヴの亡霊」)でも使われていたような、フワーと上向するような感じのパッド系の効果音と心臓音が足され、“ミーーーファッレミーーー”というメイン・メロディーのところで、喜多郎さんは、バック音源に合わせて、シンセでストリングス系の音色を弾いておられました。
 
 「創造 Sozo」「恋慕 Koi」では、アナログ・シンセで、メインのメロディーを中心に生演奏。
 
 「大蛇 Orochi」では、冒頭に“オーーーー”という感じの低い声の効果音が足されていました。
 
 次の「嘆 Nageki」は、ライブ音源の中では、おそらく元のCDアルバム版の音源に一番近い曲なのではないでしょうか。ただ冒頭のイントロの部分には、アルペジエーターによるサウンドが新たに加えられていました。

 伴奏を流して、メインパートを喜多郎さんがシンセで生演奏するスタイルなわけですが、映像とピッタリ合わせるために、何曲かは、最初のメロディーの出だし・入りのところは元の音源のままでタイミングをとって、次の小節くらいから、生演奏で入る形を取っておられるようです。(つまり、出だしは、メロディーの音があらかじめ演奏が入った状態で、その後の小節から、カラオケになるように構成されている)

 「饗宴 Matsuri」は、元のドラムの音に加えて、和太鼓の音が追加されています。
 喜多郎さんの生演奏は、笛系のメイン・メロディーと“ウッ!サッ!”という掛け声を演奏。
 掛け声は、サンプリング音を鍵盤に当てはめた設定のようです。(こちらは、デジタル・シンセのKORG・M3を使用)

 「黎明 Reimei」では、曲の冒頭に“ハァ~”という感じの溜息音(アルバム『空海の旅』シリーズでよく使われている音)が追加されていました。そこから、フルートの音色がメインのメロディーを奏で始めます。

 実は昨年の福知山で聴いた際、喜多郎さん生演奏のバック音源が、アルバム版ではなく、2014年のシンフォニック・コンサートのアレンジを加工して使っていることを確信したのは、この「黎明」でした。
 イントロの音色が、シンセコーラスではなくフルートの音だったので、間違いないと気付きました。
(途中から、何となくシンフォニック・コンサートの音っぽいな…と思いながら聴いていました)

 以上のように、CDアルバム版『古事記』とは別バージョンのアレンジを、映像ライブでは聴くことができます。
 CDアルバム版のように、エレクトリック・ギターの音は入りませんが、フル・オーケストラによるダイナミックなサウンドによる『古事記』を聴くことができます。

 喜多郎さんの『古事記と宇宙』映像ライブは、宇宙の映像を楽しむこともできますが、CD『古事記』を聴きこんでいる長年のファンの方でも、新たなアプローチ・アレンジによる『古事記』の演奏を楽しむことができる、大変見応え・聴き応えのあるコンサートです。

 特に、花山天文台のコンサートは、客席とステージが間近なので、喜多郎さんの演奏するお姿を、まさに目の前、至近距離で見ることができます。

 自分自身、先日の春日野音楽祭のように、今年からは、シンセサイザーを取り入れたライブ演奏も開始しましたので、喜多郎さんの演奏を間近で見れて、ものすごく勉強になりました。


 花山天文台での野外コンサートは、喜多郎さんのファンの方や、宇宙の映像・天文台に興味のある方には、絶対におすすめのコンサートです。
 
 ぜひ、末永く、毎年恒例のイベントとして続いて行って欲しいと願っています!!

tag : 喜多郎花山天文台

ケルトの笛屋さん・京都の実店舗へ行って来ました。

昨日、2018年10月20日は、京大花山天文台で開催の、喜多郎さん野外コンサートに行って来ました。

天文台へ行く前に、今年に開店した、ケルトの笛屋さんの実店舗・京都店を訪問。

ケルトの笛屋さん・京都店

開店後、行くのは今回が初めてでした。
ずっと、一度覗いてみたいなとは思っていたのですが、ちょうどいい機会なので、見に行きました。

ケルトの笛屋さんの実店舗は、ホイッスル演奏のご指導をして頂いた、ケルト・北欧音楽の演奏家であらせられます、hatao先生の夢が詰まった、素敵なお店です。
(hatao先生にご指導して頂いた時の記事はこちら→http://freshgreennewage.blog88.fc2.com/blog-entry-130.html

お店は、四条烏丸にありました。
駅を降りて、京都の中心部の繁華な場所から、細い道を少し入ったところにありました。

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雑居ビルの3階にお店はあります。
一見、探しにくい場所かもしれませんが、ビルの階段のところに、写真のような大きな看板がありましたので、すぐに見つかりました。

階段を上って、ドアを開けると、外の喧騒は嘘のように、とても静かで落ち着いた空間になっていました。

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お店の中には、凄い数のホイッスルが!!
そのホイッスルの山を見ていると、自然とテンションが上がって来ます。

お店の方に話しかけました。
すると、なんと店員の方は、一度お会いしたことがある、知っているお方でした。

ホイッスルも、ゴールディスウェインなど、普段吹いているバーク以外の笛を試奏させて下さいました。
とても親切で居心地のいいお店でした。


ゴールディは、バークに比べて細いので、吹き心地が随分違う印象。音色も野性的で力強い印象でした。
スウェインは木製なので、柔らかい印象でした。

同じホイッスルという楽器でも、製作者によって随分違うものですね。
勉強になりました。


ちなみに試奏では、ジブリの曲とか久石譲さんの曲などを吹いて、さらに、お店の方のリクエストにも応えて、ドラえもんの歌も吹きました。

店員さんによると、お店に来店した方で、ジブリなどアニメの曲を吹かれた方は初めてです、とのことでした。

hatao先生にもお伝えしておきますとのこと。
とても楽しい時間を過ごせました。

ホイッスルの他にも、フルートやオカリナ、ハープや弦楽器、打楽器なども扱っていて、民族楽器が好きな方には、とても楽しい空間のお店です。

京都の烏丸に行った際には、立ち寄りたい名所ですね!おすすめの場所です。
また、機会がありましたら、のぞいてみたいと思います。

tag : ティン・ホイッスル

春日野音楽祭のお礼の参拝で、春日大社&奈良公園へ

今日は、先月の春日野音楽祭のお礼を込めて、春日大社へ感謝の参拝をしてきました。
秋の爽やかな天気の中、春日大社から奈良公園周辺も散策してきました、


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秋の青空と、朱色の建物のコントラストが鮮やか!

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春日野音楽祭、お世話になり、どうもありがとうございました!


春日大社をあとにして、奈良公園周辺を散策。
観光客の多いところではなく、穴場的な隠れ名所を散策しました。


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春日大社から、少し北に行ったところの茶店。
藁ぶき屋根が、いい雰囲気ですね!もみじはまだ青葉の状態です。来月の中旬以降は色鮮やかな紅葉になることでしょう。

昨年、たった一人の春日野音楽祭を行った、春日山遊歩道へも行ってみましたが、先月の台風による倒木で、立ち入り禁止となっていました。残念…。


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春日大社の周辺から南西へ。
奈良公園周辺で、僕が最も大好きな、飛火野の風景です。

春日山、三笠山の青々とした山並みと、緑の芝生が美しいエリア。ここでは多くの鹿が、のんびりと草を食べています。
春日山の中腹には、お盆の時の大文字焼の場所が見えています。


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飛火野から西へ。浮見堂も風流で好きな場所。
この辺りは、奈良公園の穴場的な場所なので、観光客もほとんどいなくて静かな所です。

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夕陽の浮見堂。
ここも紅葉の頃に来ると綺麗だろうな…。


秋の奈良公園を散策して、美しい風景を見て、身も心もリフレッシュできました。

tag : 奈良春日野音楽祭

久石譲ジブリ音楽レビュー(4)『天空の城ラピュタ サウンドトラック~飛行石の謎~』

久石譲×宮崎駿監督作品・第2作『天空の城ラピュタ』
『天空の城ラピュタ サウンドトラック~飛行石の謎~』
※タイトルをクリックすると、Amazonの商品ページに飛びます

久石譲×宮崎駿監督、第2作目『天空の城ラピュタ』のサウンドトラック。
主題歌「君をのせて」収録。

発売日:1986.8.15(発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ)

Produced by Joe Hisaishi
作曲・編曲:久石譲

<レビュー>
①空から降ってきた少女
 「君をのせて」のオーケストラ・アレンジ版といった趣のドラマチックなサウンド。
 映画冒頭のタイトル~OPクレジットのBGMとして使用されている。ラピュタの世界へ、一気に引き込んでくれる、まさに名曲!
 イントロのピアノの音型は、イメージアルバム1曲目「天空の城ラピュタ」のイントロの一部を取り入れている。主旋律に入る直前の、木管楽器のサウンド・メロディーも印象的。
 主旋律は、イメージアルバム「シータとパズー」のストリングス・アレンジを元にしつつ、さらにスケール感のある、美しいオーケストレーションにと昇華されている。
 遥かな天空で繰り広げられる冒険物語にふさわしい、雄大さ・壮大さを感じさせる見事なオーケストレーションが聴きどころ。
 「ナウシカ」から、さらに磨きのかかった久石さんのサウンドが展開されており、久石さんの代表作にして、後世に残る名曲である。

②スラッグ渓谷の朝
 この曲は3つの部分から構成。
 まず1つ目の部分は、シンセサイザー音による細かいミニマル音型に、ハープのグリッサンドシンセ・パッド音を加味した、ファンタジックなサウンド。
 シータの飛行石が光を放ち、空をゆっくりと降りてくるシーンで使われた。
 「ナウシカ」から連なる、魅力的なミニマル・サウンドは、久石さんならではの響き。
 2つ目は、朝霧に煙る渓谷の夜明けのシーンで使われた、ゆったりとしたオーケストラ曲。ピッコロなどの木管楽器が、小鳥のさえずりを思わせ、音楽で情景を描く“音画”的な曲と言える。クラシックのオーケストラ曲を思わせる、味わい深いオーケストレーション。
 そして3つ目の部分は、トランペットの独奏による、イメージアルバムの「ハトと少年」の主要メロディー。
 映画では、小屋の屋根の上で朝日を受けて、トランペットを吹くパズーのシーンで使われている。(劇中では、パズーが演奏している設定)
 その爽やかなメロディーは、まさに名曲。
 朝日の中で、この曲を空に向けて吹けたら、最高の気分だろうなと思う。

③愉快なケンカ(~追跡)
 親方VSシャルル(ドーラの息子)の力比べのシーンでかかる曲が、この曲の前半部分「愉快なケンカ」。
 互いに、筋肉でシャツを破り飛ばしながら、壮絶(?)な肉弾戦となるが、このコミカルなシーンを音楽で盛り上げていたのが、この曲。
 パンチが当たる瞬間と、ffトゥッティが、見事にシンクロしたアレンジが面白い。
 3曲目後半の「追跡」は、パズーとシータが逃げ込んだ機関車と、ドーラが運転する暴走オートモービルの、カーチェイス・シーンで流れる曲。
 緊迫感がありながらも、久石さんらしい、耳に残るメロディーラインが印象的な曲となっている。このシーンで、ドーラが車の上で仁王立ちするカットと、曲中の“ドーラのテーマ”が流れる所が、完全にシンクロしているのも、効果的な音楽的演出となっている。
 「愉快なケンカ(~追跡)」は、表現豊かに、フル・オーケストラでダイナミックに描かれているのが聴きどころ。

④ゴンドアの想い出
 この曲は3つの部分から成る。
 まず、シンセ・ストリングスが奏でる流麗なメロディーが印象的な1つ目の部分。これはイメージアルバムには無かった旋律で、サントラ用に新たに書かれたメロディーと思われる。
 パズーとシータが飛行石の力で、鉱山の地下へと降りていくシーンで使用された。
 2つ目の部分は、フルートとハープによる優しいメロディーが印象的。大変美しい曲で、素朴なアレンジながらも名曲と言える。
 「ゴンドアの想い出」という曲名は、この曲のことを表していると言える。シータが故郷のことをパズーに語るシーンで使用された。
 3つ目の部分は、強めのアタック感のあるシンセ・ストリングスのミニマル・フレーズに、ティンパニの音を組み合わせた緊迫感のあるサウンド。
 映画後半のラピュタ到着後、シータがムスカに捕らわれてしまうシーンで使用されている。

⑤失意のパズー
 シータから、ラピュタのことは忘れてと言われ、ムスカから金貨を渡されて城を出されたパズーが、失意の中、トボトボと鉱山の村へ歩いて帰るシーンのBGM。
 オーボエの主旋律が、とても切ない。哀しみにあふれた曲調。
 パズーの心境を、美しい旋律で表現したオーケストラ曲。
 雰囲気的に、ナウシカ・サントラの、「蘇る巨神兵」の前半部分と似ているような気がする。80年代中期、久石さんの初期の頃の作風の一つと言える。

⑥ロボット兵(復活~救出)
 シンセサイザーの音による疑似オーケストラ・サウンドの大傑作。
 イメージアルバムの「ティディスの要塞」のメロディーを元にした曲だが、そちらがハードロック仕立ての作品だったのに対し、サントラ版の「ロボット兵」は、ストリングスやティンパニ、オーケストラ・ヒットのシンセ音をメインにした、シンフォニック仕立てとなっている。
 生オーケストラではなく、全てがシンセの音で演奏されているが、圧倒的な迫力とダイナミックさを堪能できる。シンセサイザーでオーケストラを再現する際の、まさに“お手本”と言える高いクオリティの作品。
 昨今は、DTMでオーケストラを再現する人も多いが、そういった機材が無い時代に、フェアライトと呼ばれるシンセサイザーでこれほどのスケール感を表現してしまうとは…。もはや神業と思えるような、久石さんの力量を味わえる。
 ロボット兵の重厚なテーマと、フラップターでシータ救出に向かうパズーのテーマ(細かい音型で緊迫感のあるサウンド)の対比が素晴らしい。このフラップターに乗っているところのテーマは、このシーンの他、映画冒頭のドーラたちによる飛行船急襲シーンでも使用されている。
 このトラックの後半、曲調が変わる所からの疾走感と緊迫感は、映画本編のシータ救出シーンの映像と完全にシンクロした音楽的演出となっており、圧巻である。

⑦合唱 君をのせて
・作詞:宮崎駿
・合唱:杉並児童合唱団
 主題歌「君をのせて」の児童合唱アレンジ曲。
 このサントラには、2種類の合唱版による「君をのせて」のアレンジが収録されており(7曲目と13曲目)、こちらは歌詞で歌っているバージョン。
 バックに、パッド系のシンセ音で軽く伴奏が入っているが、それほど目立つものではなく、コーラスの歌声の響きを、よく味わえる編曲となっている。
 シンプルで素朴なアレンジによって、メロディーの美しさがより際立っており、珠玉の旋律美を堪能することができる。
 ちなみに、この7曲目の合唱版「君をのせて」は、映画本編では未使用であり、ボーナストラック的な趣もある。

⑧シータの決意
 イメージアルバム1曲目「天空の城ラピュタ」のメロディーの、ピアノ・ソロ・アレンジ曲。久石さんのピアノ曲らしい、抒情性と旋律美をたたえた名曲。
 映画本編では、ラピュタに到着したパズーとシータが、現れたロボットの後について、誰もいないラピュタの都市の廃墟の中を歩いて行くシーンなどで使われた。
 滅亡してしまったラピュタ文明への哀歌を思わせる曲である。
 後年、久石さんが音楽を担当された映画『HANA-BI』のサントラを聴いた際、その中の曲の一つが、このラピュタの曲のメロディーと、出だしがよく似ているなと思った。(あくまで出だしの所だけだが…)

⑨タイガーモス号にて
 パズーとシータの二人をドーラが連れて行くことを知った、ドーラの息子たちが、フラップターで空中乱舞して歓喜するシーンのBGM。(イメージアルバム「フラップター」が原曲)
 小屋の周りを飛ぶ鳩たちを、空から見下ろすパズーとシータのシーンのBGM。(「君をのせて」のメロディー抜粋)
 ラピュタへ向けて出発していくタイガーモス号のシーンのBGM。(イメージアルバム「鉱夫」が原曲)
 ドーラから「これを着な!」と服を渡されて、着替えたシータが、キッチンへ向かうシーンのBGM。(イメージアルバム「ドーラ」が原曲)
 以上の4つのBGMが、この1トラックに収録されている。
 いずれも、映画のシーンやカットに合わせて、イメージアルバムの原曲をアレンジされているので、1つ1つの曲はごく短い。
 だが、久石さんの多様なメロディーが凝縮されていると言える。
 それぞれのモチーフのフル・バージョンを聴きたい場合は、イメージアルバムを聴くことをおすすめする。

⑩破滅への予兆
 この曲は2つの部分から成る。
 まず前半は、“ロボット兵”のテーマ曲のシンセ・ストリングス・バージョン。アタック感の強いシンセ・ストリングスが、ロボット兵のメロディーを、力強く不気味に奏でている。
 映画本編では、ラピュタ到着後、ムスカが飛行石の力で将軍たち兵隊を地上に落下させて殺害した後、無数のロボット兵が登場し、兵やゴリアテに襲いかかって行くシーンで使われている。
 10曲目後半は、シンセ・ストリングス系の音をベースにした、速いパッセージの、スピード感と緊迫感あふれるミニマル・サウンド。
 ジェット機のようなサウンド・エフェクトが印象的。(ただ、この効果音は映画本編ではカットされていた)
 映画の、“竜の巣”登場カットから、ゴリアテがタイガーモス号を砲撃するシーンのBGMで使用されている。

⑪月光の雲海
 パズーとシータが、タイガーモス号の見張り台で話し合うシーンのBGM。
 シータが子供の頃に教わった、おまじないの言葉のことをパズーに話すシーン(その内の、滅びの言葉が“バルス”)の音楽。
 主題歌「君をのせて」のメロディーを、シンセサイザーとピアノの音で、静かに優しく演奏するアレンジ。
 曲名通り、月光に照らされた雲の景色と、飛行船の頂のところで話す、パズーとシータの姿を、より印象深いものにしている曲である。
 メロディーはAメロとBメロのみで、サビの部分がない構成になっているので、イメージアルバムの「シータとパズー」の雰囲気に近い印象がある。
 また、ピアノによるメロディーの演奏は、5連符など装飾音を効果的に使った、素晴らしい演奏。

⑫天空の城ラピュタ
 ラピュタのサントラの中で、最も壮大で雄大な曲。
 イメージアルバムの「大樹」をもとにした前半部と、同1曲目「天空の城ラピュタ」をもとにした後半部から成る。
 竜の巣をくぐりぬけて、パズーとシータがラピュタにたどり着き、雲が晴れてラピュタの威容が広がるシーンや、ラストの、飛行石とともに天高く昇って行く大樹のシーンで流れる壮大なスケールの音楽がこの曲。
 シンセによるミニマル・フレーズとフル・オーケストラのサウンドが、見事にミックスされたアレンジとなっている。
 ミニマル・フレーズの音は、イメージアルバム版「大樹」と比較して、より輪郭がはっきりとした印象になっている。
 ラピュタ関連のCDの最新作(2018年現在)の『交響組曲 天空の城ラピュタ』でも、ワールド・ドリーム・オーケストラによる壮大な演奏で、この曲を聴くことができる。こちらのミニマル・フレーズは、シンセではなく、グロッケンなどアコースティックな楽器が使用されている。

⑬ラピュタの崩壊
・合唱:杉並児童合唱団
 主題歌「君をのせて」のメロディーの児童合唱バージョン。
 歌詞で歌われていた7曲目とは異なり、こちらは「ルルルールルールールー…」とスキャットにより、無伴奏で歌われている。
 映画本編では、クライマックスの、シータがパズーに“滅びの言葉”を伝え、ムスカに向けて「バルス!」と叫ぶシーンで使用されている。
 映画では、メロディーがサビに入ったところの2拍目までで、カット・アウトする演出がとられていた。崩壊するラピュタの映像を、緊張感を高め、より印象深くする音楽的演出となっていた。
 一方、このサントラでは、サビからAメロのリフレインまで、曲の全てを完全収録している。
 コラールを思わせる、透明感のある合唱アレンジが美しい。

⑭君をのせて
・作詞:宮崎駿
・歌:井上あずみ
 ジブリ作品の主題歌屈指の名曲にして人気曲。
 今や世界中のジブリファンによって愛唱され、後世に残る、久石さんの音楽の代表作の一つと言える。
 この曲の原曲となったのは、イメージアルバムの「シータとパズー」のメロディー。
 そのメロディーをもとに、Bメロの後半を変更し、最も曲が盛り上がる所のメロディー=サビの部分が追加された。
 このサントラに収録の「君をのせて」は、笛系の音色が、ケルト・アイリッシュ風の印象的なメロディーを奏でる、イントロ部分から完全収録されている。
 そのイントロは、イメージアルバムの「鉱夫」がもととなったもので、映画ではラストシーン、ラピュタをグライダーで脱出したパズーとシータが、空中でドーラたちと再会する歓喜のシーンから流れ出す。
 そして、手を振りながら別れた後、ひるがえったグライダーが遠方へ飛空していくカットの辺りで、マリンバによるリズムの刻みがあり、井上あずみさん(当時は“杏美”表記)の澄んだ歌声が流れていく。
 その映像を思い浮かべながらCDを聴くと、イントロ~歌の入りの所が、映画のキャラクターの感情や映像の動きと、マッチして作られていることが分かる。
 映画はその後、宇宙空間から、大樹が地球を見下ろしているカットのエンドロールとなるが、歌詞の内容ととても合った“絵”が印象的なエンドロールである。
 曲のアレンジについては、久石さんお得意の、マリンバによるミニマル風フレーズを多用した伴奏となっている。また、細かいリズムを刻むパーカッションのアレンジも含めて、80年代後半の久石さんの、典型的な作風を顕著に表している。
 すでに30年以上も前の曲にも関わらず、全く古さを感じさせないアレンジはさすが!
 久石さんの音楽が持つ、普遍性をも感じることができる作品である。


<総評>
 「天空の城ラピュタ」のサウンドトラックは、まさに久石さんの音楽の代表作の一つと言える名盤である。
 先に作られたイメージアルバムをもとに、実際の映画の中で流れる音楽として作られたのが、このサウンドトラックの音楽である。
 なので、もし、映画のバックで流れていた音楽を聴きたい、あるいは主題歌の「君をのせて」を収録したCDが欲しい、という場合は、このサウンドトラックCDを選ぶ必要がある。(イメージアルバムやシンフォニー編と間違えないよう注意が必要)
 ただし、このサウンドトラックCDは、映画本編で使用された曲を完全収録しているわけではない。サントラ未収録の曲もいくつかある。
 例えば、ポム爺さんが飛行石について語るシーンの曲や、燃え盛る塔の上でシータがロボット兵を見つめるカットの曲、パズーの勇敢さを表した“ハトと少年”のメロディーの短いアレンジなどが未収録。
 とは言え、ラピュタ本編の映画音楽を完全収録したサントラCDは発表されてはいないので、ラピュタ劇中音楽を収録した、唯一のサウンドトラックであることに変わりはない。
 「風の谷のナウシカ」に続き、久石さんが手がけた「ラピュタ」の音楽は、前作以上に“映画音楽”として完成度が高い作品となっている。
 一つ一つのライト・モティーフ(テーマ曲)を、場面ごとに見事に配した構成とアレンジ。シンセサイザーとフル・オーケストラの演奏によるスケール感のある雄大なサウンド。そして、久石さんならではの旋律美が堪能できる名作となっている。
 また、「ナウシカ」以上に、映像の動きに合わせた楽曲構成や、キャラクターの心情をより深く表現する音楽が、印象深いものとなっている。
 「ナウシカ」の後、作曲依頼が殺到し、数々の映画音楽を手がけた久石さんは、その“匠の技”をさらに高めたことが、このラピュタの音楽に表れている。

(※もう一つの「ラピュタ」サウンドトラック)
 ラピュタ劇中音楽を収録したサウンドトラックは一つだけと書いたが、それはあくまで“日本語版”での話。
 実は、おなじみの日本のラピュタとは別の演奏で録音された、もう一つのラピュタのサントラが存在する。
 それが、「天空の城ラピュタ USAヴァージョン・サントラ」である。
 アメリカでラピュタをリリースする際に、劇中の音楽が少なすぎるという(アメリカ人感覚の)理由から、作り直す必要にかられ、久石さんが全編を、オーケストラ・メインのハリウッド・スタイルの映画音楽に再構築された。
 語学学習も兼ねて、その北米版の「ラピュタ」のブルーレイを購入して鑑賞してみたのだが、日本版と比べると、驚くほど、ほとんどのシーンにBGMが入っている。とは言え、聴き馴染んだラピュタの音楽・メロディーラインはちゃんと残っているので安心したのを覚えている。
 アレンジはオーケストラ・サウンドで、よりダイナミックでスケール感のあるものになっていた。ある意味、“ジョン・ウィリアムズ”風味な久石さんになっていたと言える。
 ホイッスルの音色を使った曲など、アメリカ版用に新たに書き下ろされた曲もあり、日本版と聴き比べてみるのも楽しいかもしれない。
 あと、序盤の、小屋の上でパズーがトランペットを吹くシーンで、なぜかリュートの伴奏が入っていて、「一体、誰がパズーの伴奏してんねん!?」と思わず画面にツッコミを入れてしまった(笑)。
 やはり、日本版に馴染んでいるので、USA版は最初は違和感があるかもしれない。


久石譲ジブリ音楽・目録

tag : 天空の城ラピュタサウンドトラック久石譲宮崎駿スタジオジブリジブリ

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プロフィール

アシタツ Ashitatsu

Author:アシタツ Ashitatsu
音楽家:作曲家、ヒーリング・ホイッスル奏者、キーボード奏者

【演奏楽器】
ティン・ホイッスル
ロー・ホイッスル
キーボード・シンセサイザー

1977年生まれ。
大阪府出身。
大阪芸術大学音楽学科卒業。

ヒーリング・ホイッスル(民族楽器の笛ホイッスルによる癒し系音楽)の楽曲制作・演奏を中心に活動。

◎専門音楽ジャンル:ヒーリング・ニューエイジ

◎歴史・史跡巡りが趣味

◎大阪府の郊外(奈良県寄りの田舎の方)在住。

◎オリジナル曲での主なテーマ
・近畿や北陸の自然や歴史をテーマにした作品
・文学、児童文学をモチーフにした音楽
・ファンタジックな世界観のヒーリング音楽・癒し系音楽

◎尊敬する影響を受けた音楽家:宗次郎、久石譲、姫神(星吉昭)、喜多郎など

※メッセージ、お問い合わせ、ご依頼等ございましたら、下記メールフォームをどうぞご利用ください。

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